川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

桜の木の下には・・・根が・・・

 桜の開花宣言が新聞を賑わす。
 花だけが咲き誇る染井吉野は、ちょっと心を狂わす。落ち着くには、若芽の緑がアクセントになる八重桜。と言って、染井吉野が嫌いなわけではない。花吹雪の中でハイな気分に舞うのも良し。
 ただ、去年の新聞で知った事実が胸を痛める。サクラの根は大木となっても浅いところに太い根が広く分布しているのだそうだ。だから、そこを踏み固められると、根が呼吸しにくくなり、根ぐされのなどの原因になってしまうということ。
 大学で、あるいは万博公園での、楽しき花見の宴の思い出がたくさんある。でも、そのときあの美しい桜は悲鳴を上げていたのか。ごめんよ。ごめんよ。
 近所には桜並木の緑地帯があり、桜祭りが行われる。一日中大賑わいの大騒ぎ。桜にとっては受難の季節なわけだ。そこで去年見つけたベストスポットは、滑り台の上。去年、稽古帰りに発見。駅前で買ったたこ焼き食べながら、一人お花見。うん、ここなら桜も苦しくないよね。

 桜と言えば、梶井基次郎。十代の頃に、結構はまっていた。だからって、桜の根が死体に絡みついている絵まで描かんでもよかろうに。青臭かった日の思い出。
 当時はお耽美なイメージで愛読していたのだが、今、改めて読み返すと、怖い。素直に怖いと思う。リアルに迫ってくる。何だ、これは。
 何というか、今のほうが若いときより感受性が鋭くなってるんじゃないか?本を読んでも、絵を見に行っても感じる。若い頃、よっぽどボーっと暮らしていたのかなぁ。