川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

月の砂漠に涙を落とし

 青年団上野動物園再々々襲撃」観劇。
*ネタばれの可能性もあるので、これから観劇の方は読まないで下さいね。

 
 まいった。青年団は好きな劇団で、多分、10本は見ている。で、まさか、その青年団で泣くとはおもわなんだ。Tさんから、いつものとは少し違うよ、と言われてはいたが、そういうことでしたか。こんなストレートに泣く方向には持って行かないもの、いつもは。

 小学校の同級生のおっちゃん達(途中でマドンナも加わるが)の物語。なまじ、去年の第2劇場でやった設定とかぶるだけに、色々考えてしまった。2げきでやったのは30代なった同級生の物語。はて、そこから更に20年たったら、彼らはどうなっているだろう。そんなことも想像してしまう。

 今回改めて思ったのが、青年団のサービス精神。オリザさんの演出はかっちりしているが、遊び心にあふれている。(他の静かな演劇と言われているものを見ると、理屈や理論が先に見えてしまって疲れるのだ。)もちろん、以前ワークショップを受けたときにオリザさんが仰っていたことを思い出し、なるほどなと思うところも随所にあり。人が加わる、いなくなる。そこに生まれるドラマ。緊張と緩和。うまいなぁ。冷静にそんなところを見ながらも、芝居はドキドキと楽しめてしまう。
 
 志賀さんの声は、実に魅力的。最近はTVでもお見かけすることが多いけれど、やはり、舞台。あの声を目の前で生で聞くと、もう、たまらない。いい人、の志賀さんが、シュンと小さくなってしまった瞬間が、鮮やか。
 山内さんのマスターは、もだえる背中で、客を存分に笑わせてくれる。ちょっとやりすぎな感じが、よかったな。
 と、やっていると全員を挙げたくなってしまうわ。ここで止めておこう。

 で、泣いたのだ。ラストシーンの「月の砂漠」で。全員が立ち上がって歌いだした瞬間に、「あ、駄目だ」。涙腺が緩んだのが分かった。そこからラクダになって、マドンナと女の子を乗せて歩きながら歌いだしたら、もう、止められなかった。まいった、まいりました。



 ところで、舞台セット。後ろのあれは、黒板をイメージしているのだろうか。と、去年、教室セットを作ったので思ってしまったのだが。はて。