川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

匂いの思い出

 現在の勤務先には、学年室というのがある。科目ごとの職員室ではなく、学年担任ごとに分かれているのである。
 で、3年の学年室に行くと、蚊取り線香の匂い。妙に落ち着く。もともと、香水よりもお香が好きで、家でも玄関先でくゆらせているのだが、香取り線香には学生時代の思い出が付きまとう。
 夏は合宿体制での発掘調査。蚊に襲われる。今ならベープとか使うのかな。当時は皆、腰に蚊取り線香をぶら下げていた。あるのだね、そういうぶら下げる用のケースが。「何か、今日はやたら蚊ぁが寄って来るなぁ。」と思ったら、「きゃあ、火が消えてる!」ということもしばしば。そんな生活を一ヶ月も続けると、体にしっかり染み付く香り。いやはや。

 と、落ち着くのは私だけではないようで…

「あれ〜、なんで今日はつけてないの?せんせ〜、蚊取り線香は〜。」
「今日は蚊ぁ出てないからね。」
「ええや〜ん、落ち着くねん。つけようや〜。」

 そないにせがまれても。ねぇ。なかなか渋いお好みで。


 さて、昨日の帰りのこと。最寄りのバス停のベンチ。扇子をパタパタさせている、勤務先の男子生徒。そこに、彼女らしき女子生徒。妙になついて甘えている感じがかわいい。うちの彼、かっこええやろぉ、と周囲の友達にせいいっぱいアピールしている態度が、微笑ましい。やがて…

「なぁ、ちょっと貸して。」
「おぉ。」
「うわぁ、ええ匂いやなぁ。」
「そうやろ。」
「むっちゃええ匂い。おじいちゃんの頭の匂いやぁ。」

 ほのかに白檀の匂い。う〜む、なかなかすごい表現だ。妙に納得。

 今どきの高校生の、以外に渋好みな一面であった。