川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

象と踊る

ochamatsuri2007-06-16

 象と、踊っている。美しいダンサーが。コンタクト・インプロビゼーション。静かに、激しく、深く、心の動くまま、象の身体に自らの身体を添わせ。


 昨日は、お台場へ。
 ノマディック美術館、グレゴリー・コルベール「ashes and snow」。

 開館時間が、金〜日は10時までというのが、ありがたい。
 この展覧会のために作られた美術館。コンテナを積み上げた外観に、まず心を掴まれる。移動美術館。コンテナは、移動先でレンタルして作り上げるそうな。
 内部は、写真を撮れないのが残念。紙管で作られた列柱の回廊。神殿や神社、宗教施設を思わせる空間。
 展示されているのは、写真・映像・小説(手紙形式)で構成されている。余計な説明は無い。(係員の誘導も抑えた声。演出が徹底されている。)そこに描かれているのは、遠い未来か過ぎ去った過去か、夢に見た神話の世界か。人と動物が同じ目線の高さで生き、交わっている。メッセージは、確かに存在する。でも、それをどう解釈し、受け止めるかは、それぞれの心に任されている。

 演出効果が効いている。写真は和紙にプリントされたセピア色。それが天井からぶら下げられているので、どこかから入る風、振動で、常にかすかに揺れている。じっと見ていると吸い込まれそうだ。そこに、時折、激しい音が響く。風が、コンテナに当たり、シートに当たりのだ。雨が降れば、また、新たな効果が生まれるのだろうな。

 入ってすぐの、座る象に両側から頬を寄せる二人の子供の写真にドキリと胸が鳴る。なんだ、言葉で説明できないこの感覚は。理由のわからない「あ」と言う声を出したまま立ち止まってしまった。
 映像は、十分程度のものが2本と、手紙を読む声が入っている一時間ほどのものが1本。長い方の映像の中で、ダンサーが、象と踊っていた。別のダンサーは、水中では鯨と踊っている。「綺麗だったね」と言う一言ですませてはいけないものを感じる。
 出口近くまで来て、Uターン。途中で見た映像を思い浮かべながら、もう一度最初から、写真を見る。ゆっくり、じっくり。

 観覧者として、展示方法が気になる元博物館職員として、表現の場に関わる者として、三つの視点でそれぞれに思うことあり。充実した時間でありました。
 
 6/24まで。会期はあと少し。




 嗚呼、やっぱり、鎖骨より肩甲骨だわ。あの、今にも翼が生えてきそうな背中。美しいなぁ。しなやかな背中を持ちたい。そう改めて、思うのであった。