川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

リリパで再会

 昨日の日曜日は、相方とお出掛け。座・高円寺へ。大阪のリリパットアーミー?『罪と、罪なき罪』観劇。

 観劇にはもう一つ目的があった。千ちゃんこと千田訓子さんに会うと言うこと。出会った時は、彼女は10代、私もまだ20代の大学生だったなぁ。立身出世劇場と第2劇場が仲良しだったのね。お互いの公演のお手伝いをしたり、役者の客演があったり。
 そんな彼女が、気が付けばリリパの役者さんになっていた。でも、大阪にいるときは、タイミングが合わず、観に行く機会が無かったのだ。
 今回、おぉ、ちょうど座・高円寺のカフェは月末のドラマリーディングの会場なので観ておきたかったし、これは良い機会だ。観に行きましょうとなったのだ。
 で、事前に知らせるのはやめておこう。いきなり現れて、ちょっとびっくりさせてやろう。と、ワクワクする夫婦。・・・まさか、「誰?」なんて事は無いよね。と、ちょっと心配もしたりしながら。

 んで、いざ、面会へ。

 あはは、杞憂。

 楽屋に出向き、千田さんに会いたい旨を伝える。やがて、現れた千ちゃん。

「え、ええ〜?!え、何十年振りですか?」

 ・・・何十年って、・・・ん?あ?そうか、十年以上お会いして無かったのね。あ、ははははは。そりゃびっくりだわ。

 私達が結婚していた事も、知らなかったのね。大阪のHさんとむーとさんが、なぜ、高円寺に?と言うびっくりでもあったのね。

 しかし、変わらないなぁ。うん、そうだ、このにこにこ〜っとした笑顔。あ、いや、いい意味で、ちょっと変わったかな。あの頃より花が咲いている感じ。きっと、色んな事があったんだろうなぁ。全体の雰囲気が柔らかくなった彼女の歩んできた道のりを思う。あぁ、ゆっくりとお話がしたいなぁ、と思う。公演中の楽屋訪問では、ちょっと慌しい・・・。
 
 さて、嬉しい再会の後は、カフェ・アンリ・ファーブルへ。少し早めの夕食。ここ、絵本がたくさん置いてあるのね。はしゃいでしまう。「かぼちゃスープ」と言う絵本が、もんのすごいツボにはまってしまった。いやぁ、これ、楽しい。森の中のお家で仲良く暮らす、ねことりすとあひる。役割を決めてかぼちゃスープを作っている。ところがある日・・・。う〜ん、ラストのひとひねりが、たまらん。うまいわぁ。御すすめでございますよ。



 で、観劇の感想は?ネタバレもあるので、これから観劇の方はここでお帰り下さい。今週いっぱい上演中。楽しいです。お時間のある方、お出掛け下さいませ。








 と言うことで『罪と、罪なき罪』。

 大阪らしい、と思ってしまいました。これでもかのサービス精神。ここで、このシーンで、そのキャラが出てきますか?悪ふざけギリギリの事をやっても本筋に戻れるのは、上手さだなぁ、と思う。

 大津事件の話、と認識していたのだが、なかなか大津事件の話にならない。描かれるのは、明治と言う新しい、新しくなったはずの時代。牛鍋屋で盛り上がる若き弁護士がいる。判っているのかいないのかの華族議員がいる。微妙な立場の検察官がいる。警察官。医者。女中に色んな事を学ばせ目を細めている裁判官がいる。きりりと働く女がいる。要所要所で解説を務めるのは女講談師。

 しっとりとドタバタが交錯する舞台。やがて、大津事件を任された事に悩む裁判官。

 ここから、歴史ものに行くのかと思ったら、ちょっと肩透かし。え?それはちょっと出来すぎな運びでは無いの?と思うのは、歴史好きの所為か?ん〜、と、ちょっと首をひねった直後に、あぁ、そうかと思う。この芝居が描きたかったのは、日本の司法制度の話では無いのだ。新しい時代の中で、その変わり目の中で、翻弄され、傷付いて、傷付けて、それでも生きて行く、「人」の物語だったのだ。
 ノンフィクションにフィクションの味付けをしたのではない。フィクションの物語のためにノンフィクションの味付けをしたのだ。と、納得する。

 それにしても、コング桑田さんはやり放題。楽しそうだなぁ。でも、開演前も終演後も、しっかり物販。そりゃあの声だもの(ゴスペル歌手でもいらっしゃる)、お客さんの耳を惹きますわ。・・・楽屋訪問を終えてロビーに戻ったら、お客さんははけて、物販は締め作業中。それも、されるのですね。うむむ。

 もっぴーこと茂山宗彦さんは、登場したときは瓶底めがね。誰か判らなかったよ。それを狙ってたんだろうな。途中で、さりげなく一瞬眼鏡をはずし、「あぁ、もっぴーだ。」。仮想裁判のシーンでは狂言演出もあり、楽しませてくださいました。
 この日のサイン会は、上田宏さんと茂山宗彦さん。終演後、ロビーに出たら、既に列が出来ている。ほぉ、と見ているうちに、衣装のまま楽屋から直行?「お待たせしました〜」と駆け込んでくるお二人。さっと椅子に座り、すぐにサイン会を始める。そのフットワークに見惚れてしまいました。

 役者が、楽しく遊んでる(playしてる)舞台は、素敵です。遊びきる技術を持った役者の居る舞台は、素敵です。そんなことを思ったのでした。

 あ、段差の多い舞台セットも好きでした。役者がごろごろ動かして組み替えて行く。うん、こう言うの、好きだ。


 お芝居も楽しく、再会は嬉しく、カフェでのお食事は美味しく、いい絵本との出会いもあり、なかなか良き日曜日でありました。