初めての発掘調査への参加は、大学1年生の時。つまり、まだ教養部の学生でしたな。場所は、大学のキャンパスの一角。
キャンパスのある待兼山は、弥生時代の集落跡や古墳群がある所。とある建物を建てる前に調査をすると言う事で、参加いたしました。
地中に何かある、と言う事で、石室か?と言う期待もあったのだが、出てきたのはコンクリートの基礎。
こ、これは……
戦後、米軍に接収されていた時代がある。どうやらその名残り。遺跡はあったかもしれないが、これでは、もう残っていないだろうなぁと言う事であったな、確か。埴輪の欠片ぐらいは出たんだったかな?
立川断層のニュースを見ていて、ふっと思い出したのでありました。
あ、京都の古墳を調査していた時、アイス(氷、だな)のカップの蓋が発掘されました。
こ、これは……
以前に、某大学が調査をしており、埋戻しの際に入ったんだろうと言う判断。「安ぅ〜」と、値段に盛り上がったり。まぁ、ある意味、歴史だな。ゴミはちゃんと始末しましょうね。
私が居た頃、研究室での調査はもっぱら前期古墳。4世紀頃。私が跳ねた土の中に、銭らしき物が。
こ、これは……
間違いなく銭でした。ただし、9世紀の。平安貴族の落し物?何かのおまじない?想像が膨らみました。
……当時の私はひきつってましたよ。まさか、そんなものが出てくるとは思わなかったから、結構勢いよく土を跳ねたのですよ。目的は、古墳の面を出すことでしたから。で、勢いで、銭は割れておりました。ぎゃあ〜。
「報告書に載せるから、責任持って拓本取れよ」
……うっすいのよ、華奢なのよ。拓本取っている時に、更に4分割に……
土の中には色んな過去が眠っております。それらは確かに、今の私たちの暮らしに繋がっている。なんてことを考えると、歩いている地面の下が、愛おしくなったりするのです。