川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

賢治の石

 宮沢賢治の作品『楢ノ木大学士の野宿』は、蛋白石採取に出掛けた主人公が、野宿した夜に出会う不思議。
 
 先日の公演では、その第3夜、恐竜に出会ってしまうと言うジュラシックパークのような話の解説をした訳だが、多分、この第3夜が一番判りやすいのだろうな。

 第1夜は、夜空を相手に岩頸(火山噴出物、と言えばよいのかしら)の講義をしているうちに、岩頸の兄弟の夢を見ます。
 第2夜は、石切場の穴に野宿することになり、石切場の鉱物たちの会話に耳を傾けます。
 第3夜は、白亜紀の地層で恐竜の化石探し。巨大な足跡をたどって行くと、突然生きた雷竜と出くわして……

 実は、賢治の頃にはまだ、日本で恐竜の化石は発見されていないのだそう。雷竜とはアパトサウルスブロントサウルス)の和名。1978年に実際に、岩手県アパトサウルスと同じ竜脚類の恐竜化石(モシリュウ)が発見されている。と言うのはちょっとしたトリビア

 で、「石の世界と宮沢賢治」では、第2夜の鉱物たちの会話の解説してくれていました。これ、花崗岩の風化を描いているのですね。その様子、登場人物いや鉱物を並べて展示してくれていました。



 ん〜、これって、解説が無いとあの話の面白さって伝わりにくいよなぁと改めて思う。第3夜は、朗読で、耳で聞いても楽しいと思うのだが、……第1夜はともかく、この第2夜は……はたして、耳で聞いて、どこまでこの魅力が伝わるのだろう、と思う。
 例えば、植物なら判らないなりに、綺麗な花なんだろうなとか、ツル植物か、とそれなりに想像力を働かせることが出来る。鳥も、細かくは判らなくても、小さい鳥、強そうな鳥、と想像は出来る。音楽も、激しい曲、静かな曲とイメージを膨らませる事が出来るだろう。
 でも、石は?他にも詩や短歌に石の名前がたくさん出てくるのだが、それが石である事も、解説を見ない限りは判らない訳で。ん〜、やっぱりマニアックですよ、賢治さん。