川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

口元

 稽古が終わって、12時近い戸塚駅の橋上改札を出る。右に曲がって東口のデッキを行く。
 前を歩く若い男の子ふたり。きょろきょろしている。
「こっちでいいのかな」「……ブルーラインに……」「どっかあるでしょ」「どこ」
 漏れ聞こえて来る言葉でなんとなく察する。迷っている。そして、ブルーラインつまりは地下鉄の駅に行くには、ここは判りにくい。
 ん〜。
「地下鉄に乗りたいの?」
 声をかけてみる。
 一瞬戸惑った表情で、でも、「はい」と言う返事。
 こっちこっちとデッキから下を覗く。ほら、あそこ。地下への階段を確認させる。で、そこの階段から下りたらいいからと伝える。
「ありがとうございます」「助かりました」
 いえいえ。笑顔でさよなら。
 ……ほんと、判りにくいんだよなぁ戸塚駅。高低差のある地形なので、こっちの2階があっちの3階だったりするし。橋上改札に出てしまうと、どこから地下に行けるのかが判断できない。再開発前も、再開発後も、色々ややこしい。それでもいつの間にか慣れて、こうやって説明出来るようになっているとは、自分でもびっくりだよ。
 あ〜でも、あの階段から下りたら、更にもう一つ下りないといけないってことまで言った方が良かったか。ま、まぁ、さすがにそれは、判るよね。

 それにしても、ふたりと別れてから気が付いたよ。

 私、口の周りになんか付いてます。

 ああ、もうっ、稽古帰りに買い食いする癖は何とかならんか……ついつい……戸塚にたどり着いたぁ、ああ、でもまだ坂を上って上って、と思うと、つい、エネルギー補給で……。だから、親切心はいいけど、声をかける前にせめてお口周りを気にしなさいって。遅い時間に迷っている姿に、そうか、私もちょっと焦ったのか、な。