川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

その街のこども

 もうすぐ、あの日から20年。人によって「もう20年」だったり「まだ20年」だったりする。
 成人の日あたりからこっち、どうしても、テレビであの時の映像を目にする機会が増える訳で、やっぱり、心がざわつく。
 節目の年で、ドラマやドキュメンタリーも放送される。先日、BSでの放映は済んでしまったようだけれど、やはり、震災と言うことに関していうなら、映画「その街のこども」を見て貰いたい、と思う。
 NHKが震災から15年の年にドキュメンタリー風に撮ったドラマであり、その後、再編集して映画になったもの。
 震災物と言うと、どうしても、直接の被災者に焦点が当たる。けれども、この作品は違うのだ。もちろん主人公の二人は、幼い日に被災者とはなったのだが、家族を失ったとか、そういうことでは無いのだ。けれど、そうであるが故に、深く傷つき、その街から離れ、帰って来られなくなってしまっていた。
 こう言う傷付き方に焦点を当てたものって、あまり無かったのではないかと思う。大変な状況に立ち向かった、乗り越えた、と言う話の外側で、だからこそ言うことのできない痛みがある事を、伝えてくれる。この物語は、あの日から15年たった時点のもの。そこに描かれた視点は、まだたった4年でしかない東日本大震災を考える上でも、大切なものだと思う。

 機会がありましたならば。