それは、松本での出来事。
さと子さんとふらりとお散歩に出た時、ふいに目の前を何かがよぎり、ばしっ!と言う音。
え?
みると、足元でひくひくしている小さな鳥が一羽。左手には、お店のガラス窓。あちゃ、ぶつかったか。
ど、ど、ど、どうしよう。
直接手で触れていいものか……ふと見ると、時節柄、落ち葉が。何枚か拾って、くるんで起こしてやろうとするが、どうも、無理。脳震盪でも起こしてる?ん〜。と、とにかく、ここは危ない。
風のあまり当たらない、すみっこに寄せてやる。
対処としてこれで良かったのかは判らんが……
いや、もう、どきどきした。なぜって、これから二人でやる「セロ弾きのゴーシュ」には、まさに、鳥が窓ガラスにぶつかって、ばたっと床に落ちて、と言うシーンがあるのだもの。
そして、全6回の公演のうち、あれは何回目だったろう。スタンバイしていた楽屋(兼宿泊場所)から信濃ギャラリーに向かった私に、受付担当さんが「ちょっとハプニングが」と。
ええ〜、なにが起きました?
お客さんと一緒に猫が入ってしまって、しばらく舞台上をウロウロして、さと子さんが♪迷子迷子の子猫ちゃん〜♪と弾いてくれて、やがて猫は出て行って……
客席が温まってます!
うわぁ、なんだそれは。
「セロ弾きのゴーシュ」には猫が出て来る。それだけではない、冒頭、「猫」と言う短い作品を読むと言う構成にしていたお茶祭りにとって、それは、思いがけない、悦妙の演出となったのでした。
さてさて、いよいよ、五日後、初日です。どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません……
あ、今回の冒頭は「猫」ではありません。あの、宮沢賢治と言えば、のあれです。