一日目の夕方、ホテルからほど近いところに、釜石薬師観音寺と言うのがあることに気が付いた。傍まで行ってみて、あ、ここは、と思う。陽が落ちかけていたので、翌朝に訪れることを決める。
と言うことで、7/2、無事、早起きして朝ご飯を食べて、チェックアウト。薬師観音寺へ。
……うう〜、目下流行りの「熊出没注意」の看板が〜。誰も歩いていない坂道。お堂から更に道は続く。薬師公園と言うのがあるはずなんだが……
ええ〜い、ここで熊に襲われても、誰にも気が付いてもらえないんじゃないか?と不安に駆られる。一人旅の怖さ。発見されぬまま、次の宿泊先から「ドタキャンですよ〜、キャンセル料払ってください」のメールと電話が入ると言う絵をつい想像。
ようやっと、薬師公園到着!と思った瞬間、そばの茂みが
ガサガサッ!
ひ〜っ!
び、びび、びっくりしたよ〜。鹿でした、鹿。鹿がぴょ〜んと飛び出して目の前をてってけて〜。
あの〜、振り向いてじっとこちらを見てくれていますが、その後ろに平和の像ってのがあって……近付けないなぁ。下手に近付いて、去ってくれたらいいけど、鹿のキック力をなめてはいけない。
しかし、この絵は、なんか「もののけ姫」を思い出します。
遠くから手を合わせ、鹿の視線を気にしつつ、振り返って釜石市を見下ろす。
ああ、やっぱりそうだ、と思う。あの日を捉えた映像の中、釜石市が津波に飲まれる様子が、避難してきた人の手で撮影されていたのはここだ。
手を合わせる。
「釜石は、復興が早かったんです」確かミッフィーカフェのお兄さんは言っていた。前日に訪れた大槌の様子を思い出せば、それは、そうなんだと思う。新日鉄の製鉄所が再開したことも大きかったんだろうな。