川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

好み

 劇中では何度か、森本氏が疎開中の奥様におくった手紙が読まれる。ついつい仕事をしてしまう自分、疎開がうまくいかない苛立ち、「もう一度、お前と子供を抱く」とか、とにかく心配し、早く家族に会いたいと言う思いが溢れている。
 ちなみに、公演タイトルは『まだ生きてゐる』。これは和歌子夫人にあてた手紙から。空襲を受ける東京からの手紙。その生々しさ。
 「全く俺は仕事で命すてるかもしれん」と言う手紙に呼応するように、文学座からの弔辞には、自分たちが病中の森本氏に書くことを求めたことが、再起を不能にしたのではないかと書かれている。
 さて、和歌子夫人への思いあふれる手紙の一方で、エンディングで読まれる手紙は愛人でもあった杉村春子さん宛のもの。終戦直後に書かれたそれには作品構想が書かれている。それは、1946年に亡くなった氏が果しえなかった作品。ここでは役者全員舞台に倒れているのだが、朗読する二口大学さんの「けど書いてみたいのだ」と言う最後の言葉に泣きそうになる。
 私は、とことん、最後まで何かやろうとしている人が好きなんだなぁ。

 友人からはご舞運をと言う言葉がメールでおくられてくる。ありがとう。


 学生会館前の池は埋められ、なにやらこじゃれたガラス張り建物が……。
 って、学生会館の前に、柵だけ残ってるよ。ここから池に向かって発声練習をしていた学生時代をちょっと懐かしむのでありました。
 ひょんなきっかけで出演することになった舞台。素敵な出演者の皆様とご一緒出来、1回で終わるのがとても残念。ありがとうございました。
 スタッフの皆様、大学の皆様、ありがとうございました。
 なにより、演出の山口さん、ありがとうございました。