川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

想稿

 しかし、改めて「想稿・銀河鉄道の夜」は、よくできてるなぁと思う。
 知らない人は、銀河鉄道の夜をそのままやっているように思うのだろうけれど、最終形に初期形(ブルカニロ博士篇)の要素を入れていることを始め、原作と変えているポイントにぐっと来る。
 汽車の中ではなく待合室にしている事、青年とザネリを重ねている事、鳥捕りの部分に「なめとこ山の熊」を持って来ている事、発掘をしている学士も乗客である事。「また崖が崩れて来たら」「埋もれて化石になるだけです」と言うやりとりの意味に「あ!」となる。翌日の教室の光景、露悪的とも言えるザネリの態度の意味。

 あの物語が持つ「生」と「死」を舞台で可視化するための仕掛けが、ぞくぞくする。まぁ、高校生との舞台で、そこまで表現しきれなかったのは、無念。
 まさか、この物語に取り組んでいる最中に、大切な友人との別れを経験することになるとは思わなかった。葬儀の際に、劇中と同じ讃美歌とか。どうにも、カマコが見ていたような気がして仕方が無い。

 いつか、あの物語の中の「ほんとうのこととはなんですか?」と言う狂おしいまでの問いの意味に、彼らは気付いて、くれるかなぁ。