川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

森本薫プロジェクト「まだまだ生きてゐる」

 さて、間もなくです。

www.museum.osaka-u.ac.jp

 2年前は阪大の懐徳堂スタジオで一回だけの公演で、あまりたくさんの方に見ていただけなかったのが残念でした。今回はメイシアターで三日間。どうぞお越し下さいませ。
 森本薫が戦時中に、京都に避難した奥様あてに書いた一連の手紙が、興味深いです。戦局が悪化していく状況、その中で書かれた「女の一生」のこと、奥様への思い。戦争資料としての意味も持っているなぁと思います。
 タイトルの『まだまだ生きてゐる』は、奥様への手紙の冒頭に書かれた「まだ生きてゐる」と言う言葉からきています(2年前は『まだ生きてゐる』と言うタイトルでした)。
「まだ生きてゐる」と言う言葉の重さ。東京への空襲が始まっている中での切実な言葉。
 今回上演する初期の短編「ダムにて」、ラジオドラマ「時間について」(老婆役で出ます)が、今でも古さを感じさせない、都市の一角でのささやかな日常を描いているだけに(招集と言う、当時を感じさせる要素はあれど)、その日常があっと言う間に奪われてしまったのだな、と改めて考えています。
 どんな思いで、彼は『女の一生』を書いたのだろう。時局に合わせて書いた(書かされた、とも言える)、あの冒頭と終幕。私たちが知るのは戦後書き換えたもの(その上演を、森本自身は見ることが出来なかった)。それを比較上演する、と言うのもこの公演のポイントだと思います。森本薫がそこに込めた思いは、どんなものだったのか。
 諸々構成したオムニバスなので、他では見ることが出来ない公演です。足をお運びいただけましたら幸いです。