語り芝居
先日、オンラインでの「手袋を買いに」朗読会に参加して、他の方のを聴きつつ、私は即興一人芝居「子狐の初めてのおつかい」をやったわけですが……。実は目下、朗読教室では「手袋を買いに」をテキストにしていて、その際に気になったことがあって、それがベースになっておりました。
で、やっぱり私の朗読のベースは、語り芝居なんだな、と。
語り手・登場人物の視点・視線。動き。例えば窓の高さ、光の位置、質感、こまごまと突き詰めていく。一方で、その全体を見る目。映画で言うならカメラ目線。どこに焦点をあてるのか、それがどう移動していくのか。
だから、間違いに気付いた時の子狐が気になって、ああ言うのになったんだなと、自分のやりかたってものに改めて気付いたのでありました。
読んでみる
今日は「声を出して読んでみる会」。
導入の詩を金子みすゞさんの「つもった雪」にした。メインが「手袋を買いに」なので、雪繋がり。
参加者のお一人が、これを現代の働く人のメタファーとして読んで下さった。上の雪、下の雪、中の雪。それぞれをどういう立場と考えるか。それは、ずっと会社で働いてきた大人だからこその受け止め方。例えば、これを同じ視点で高校生に解釈してもらったら、違ってくるんじゃないかな、と。
すっと心に落ちる判りやすい短い詩にも、たくさんの受け止め方、解釈が生まれる。それが、たまらなく面白い。
教室と言ってるけど、実際のところ、そんなに何かを教えているわけではない。それぞれが、どんな風に思い、読んでいるか。それを聴かせて貰っている。だから、私はガイド役。私が学ばせて貰っている時間。
さて、この詩、どんな風によみますか?
つもった雪 金子みすゞ
上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしてゐて。
下の雪
重かろな。
何百人ものせてゐて。
中の雪
さみしかろな。
空も地面(じべた)もみえないで。