川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

宝物

一緒に歩いていた小学生がしゃがみ込む。
「珍しいの見つけた!こんな紫の花、見たことない。とって。」
この場合の「とって」は「採って」ではなくスマホで「撮って」であるのが今時の子。

 それは、よく見れば道端でよく見かける草花。と思うのは大人。人生10年も生きていない子供にとっては、それは見たことがない。あるいは、初めてじっくり見た花。
 私にも覚えがある。夏のある日、真っ青な空にもくもくと真っ白な雲。まるで絵の具で描いたような。友達と「絵に描いたみたい」といたく感動。それは、入道雲。それまでだって雲は見ていたと思うのだけど、あれがはっきりと意識して空の雲を見た最初だったのだ。
 あれからウン十年。今も、あの時の印象以上に鮮やかな入道雲は見ていない。世界のあらゆるものが新鮮で驚きや喜びに満ちていた、それは、人生の中の宝物のような時間。