川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

猫の事務所

 宮沢賢治の作品に『猫の事務所』と言うのがある。

 その名の通り、猫たちが働く事務所。事務長の黒猫を筆頭に、4匹の書記猫(三毛猫・虎猫・白猫・かま猫)が居るのだが、かま猫は、能力は長けているのだが、他の書記猫から嫌われている。まぁ、はっきり言えば、いじめられているのです。
 でも、ここで書記をすると言うのはとても名誉なことなので、いじめられても、かま猫はがんばります。事務長もフォーローしてくれるので、誠実に仕事をこなします。(ちなみに、字がうまくて詩の読めるものが、なれるそうです)。
 が、ある時、事務長が讒言を信じてしまいます。
 かま猫が出勤すると、彼の仕事はすべて他の書記猫に振り分けられていて、完全に彼は無視されます。やることもないまま椅子に座り、涙するかまねこ。

 この様子を、通りかかった獅子が気付くのですね。獅子は、猫の上位にあります(他の作品でも獅子大王と言う表現があります)。獅子が事務所に入ってくると、猫たちは大慌て。獅子は、こんなことではいかんと言う事で、事務所の解散を命じます。

 話は、語り手の「ぼくは半分獅子に同感です」と言う言葉で終わります。


 桜宮高校への橋下氏の対応を見ていて、同じ気持ちになるのだ。半分、同感。


 ところで、賢治の初期の原稿では、最後の文章は「かま猫は本当にかわいそうです。それから三毛猫も本当にかわいそうです。虎猫も実に気の毒です。白猫もたいへんあわれです。事務長の黒猫もほんとうにかわいそうです。立派な頭をもった獅子も実に気の毒です。みんなみんなあわれです。かわいそうです。かわいそう、かわいそう。」
 ……随分、雰囲気が変わりますな。