川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

キャパとゲルダ

 3月某日、横浜美術館に『ロバート・キャパゲルダ・タロー二人の写真家』を見に行きました。この二人に関しては、こちらを参照http://d.hatena.ne.jp/ochamatsuri/20130216
 スペイン戦争も、初期は、なんだかのどか。新しい存在である女性兵士は、なんとも華があり、モデルさんっぽい。戦場と言う設定で撮ったグラビア。そんな感じ(後半で出てくる中国の女性兵士写真のごつい感じとのギャップがすごかったわ)。
 やがて、戦争は長期化し、生半可な事では済まなくなってくると、女性兵士は邪魔になり、戦場から姿が無くなる。兵士達は汚れ、表情は鋭くなり、同時に虚しさも漂う。生々しい、戦場の姿。
 その厳しい中に留まり続け、戦場で亡くなったゲルダ。そして、その18年後にインドシナ戦争で亡くなるキャパ。キャパが地雷を踏む直前に撮っていた写真も展示されていた。カメラを武器に戦った二人。比喩ではなく、確かにカメラは武器だ。人の心を動かす。
 キャパは、戦後の日本にも来ていて、その写真も展示されていた。1954年。戦争が終わって10年近く。閑かな行楽風景や、遊ぶ子供。招待側が期待したような所ではなく、何気ない日常を撮るキャパ。関西も来てるのね。尼崎にも来てるよ。大阪城、ここは、戦争中は砲兵工廠だった場所。人々ののどかな日常。キャパは、何を思ったのだろう。
 この後、キャパは インドシナ戦争へ。そこで地雷を踏み亡くなっている。日常から、戦場へ。

 印象に残ったのは、ドイツ軍が去った後のパリ。ドイツ軍に協力した女性が坊主頭にされ、パリの人々の前にさらされている光景。ドイツ兵との子供を抱いた女性を嘲笑う人々の表情の醜さ。勝者にも敗者にも、正義は無い。ファシズムに対抗していたはずのキャパのカメラが捕えた、矛盾。

 先日の沢木さんの番組と合わせ、色々考えてしまう展覧会でした。