川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

空飛ぶたくあんと空飛ぶ日の丸

 伊丹空港は連日の逆ラン、14運用。
 グゥオン!と飛んで行く、黄色いSTAR WARS号をベランダから見上げておりました。誰よ、あれを「たくあん」って呼ぶのは。
 ……いや、まぁ、確かにたくあんっぽいよね。
 楽しく見上げる飛行機の飛ぶ空。平和な空。
 今日の「読んでみる会」オンラインのテキストはこれにしました。真珠湾より前の作品。詩人の目がとらえた世の中。
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「紙の上」 山之口獏
戦争が起きあがると
飛び立つ鳥のやうに
日の丸の翅をおしひろげそこからみんな飛び立つた
一匹の詩人が紙の上にゐて
群れ飛ぶ日の丸を見あげては
だだ
だだ と叫んでいる
発育不全の短い足 へこんだ腹 持ち上らないでつかい頭
さえづる兵器の群をながめては
だだ
だだ と叫んでゐる
だだ
だだ と叫んでゐるが
いつになつたら「戦争」が言へるのか
不便な肉体
どもる思想
まるで砂漠にゐるやうだ
インクに渇いたのどをかきむしり熱砂の上にすねかへる
その一匹の大きな舌足らず
だだ
だだ と叫んでは
飛び立つ兵器の群をうちながめ
群れ飛ぶ日の丸を見あげては
だだ
だだ と叫んでゐる
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