川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

蛙と小僧と夜桜と

 昨日は、久しぶりに朗読教室へ。
 春ということで、前回から草野心平のかえるシリーズに取り組んでいるとのこと。
「発声練習代わりに」と、『ごびらっふの独白』。かえる語の詩と日本語訳の詩。「るてえる びる もれとりり がいく」かえるの大合唱。しかし、知らない人が聞いたら、何語に聞こえるんだろね、これは。
 引き続き『春の歌』。「ほっ まぶしいな。ほっ うれしいな。」「ケルルン クック。」短いので、一人ずつ読んでみる。それぞれの個性で、ウシガエルになったり青蛙になったり。間のあけ方、鳴き声の入れ方、それぞれのイメージがこんなにも違うのか、と言うのが面白い。「川島さんは、元気いっぱいの少年のようだね。」…先生、確かそれ、山村暮鳥の『雲』のときにも仰いませんでした?(あれは、実は病床の男の切ないイメージがあったので、それを払拭したくて元気にやったのだけど。)褒め言葉、ではあるが、そろそろ女の色気も…って、カエルでは無理か。
 カエルだけでは、ということで草野心平の『富士山』にも取り組む。(あかん、心の中で小笠原氏が「富士を見た事はありますか?」と猫のカルザイを抱きながらクックッと笑ってる。詩ボク病だ。)

 そのあとは、昨年末からの課題。志賀直哉の『小僧の神様』を数行ずつ読みまわす。いい具合に鮨屋のおかみさんの登場シーンが回ってきた。「若い品のいいかみさん」だ。よし、と小僧さんがクラッとしてしまいそうな色っぽさをイメージして「小僧さん、お入りなさい。」ふっ、受けたぜ。そうよ、少年だけがお得意なんじゃないのよ。と、ちょっと気を良くする。 この話、第3章が好き。貴族院議員A、小僧、鮨屋の主の3人の心の動きが、短い文章の中で実に鮮やかに浮かび上がってくる。それぞれの心が揺らいで、ざわつく様が、いい。繰り返し読んでしまうのである。

 教室のあとは相方に蛙、じゃなくて帰るメール。連日深夜帰宅の人だが、水曜は少し早く帰れるはず。同じぐらいの時間になるなら、一緒にお花見がしたいのだ。私が少し早かったので、スーパーで買い物をして、ぶらぶらとゆっくり桜通りまで行って、待つことにする。お気に入りの滑り台の上で、追いつくのを待つ。桜花が目の前。花の中に居るような気分に酔う。
 近くの自動販売機で買ったお茶が冷めないうちに、相方到着。「狭いなぁ」と笑いながら上って来る。二人でお花見。いいなぁ。桜餅は売ってなかったので、桜あんぱんを二人で分け合って食べる。ささやかなひと時、でも贅沢なひと時。うん、こんな時間がたまらなく好きだ。

 
 と、夜桜見物に来た家族連れ。小さな子供の気配を読み取り、滑り台を明け渡す。この年になると、滑るのは、なかなか根性が要ります。怖いの…。