川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

ようやく『太陽』

ochamatsuri2006-12-08

 危ない危ない、高槻の映画館、上演回数が一日に1回になっているよ。慌てて、と言いつつしっかりレディスデイの水曜日に観に行く。

 以下、ネタばれの可能性あり。観る予定の方は、ここでストップ!



 静かな、とても静かな映画。「現人神」とされていた方をモデルにした、夢?ファンタジー
 背景で聞こえ続ける静かな音が、時に神経を逆撫で、彼が日々感じ続ける静かな逃れることの出来ない苛立ちを、伝える。時の流れはレコードの針飛びのようで、それがまた、心をざわつかせる。
 自らの為に作り出した権威に、自分達でがんじがらめになり動けなくなっている人々の哀しさと滑稽さ。その中で、さらにがんじがらめで戸惑い続ける彼と言う存在の不安。
 
 イッセー尾形さんというキャスティングが見事。他者と関りたいのに関れない、関わり方も分からない、ふざけてみても分かってもらえない。そんな悲しさを、静かに演じている。
 桃井かおりさんの出番はラスト近くの短いシーン。その一瞬に見せた、女の強さに心を掴まれてしまった。あの、彼の手を握った強さで、ぐっと。幼子のように引っ張られ、画面から消える彼の姿が、目に焼きつく。

 しかし、一番の役者は、あの鶴だと思う。上手すぎる…。