川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

絵で読む賢治

ochamatsuri2007-10-31


 午前中は皮膚科へ。比較的落ち着いているので、通院の間隔が空いている。なので、行くたびに様子が変わっている、ただいま工事中の新横浜駅。キョロキョロしてしまったよ。

 今日のメインは、その後。新横浜から、戸塚を通り越して、平塚へ。(三里ばかりか藤沢平塚大磯がしや・・・と外郎売を呟いてみる。)平塚市美術館「絵で読む 宮沢賢治展〜賢治と絵本原画の世界」、賢治の原稿や絵と、賢治童話の挿絵の展示。
 平日の昼間やけど、なかなかの賑わいであった。

 お父上の写真。想像していた雰囲気とピタリと重なり、不思議な気分。

 小学校時代の「綴方帳」(作文ノートやね)、表紙に「?名作集?」と言う落書き。ふふっと笑ってしまう。その中の作文は、新校舎に移ったあと、ぼろぼろの古校舎が「今は捨てられて、この寒い時に只一人、あの風あたりの強いところで寒さに泣いている」と書いている。賢治童話の芽が、もう出て来てますね。

 『セロ弾きのゴーシュ』の原稿。最初に書いたものから、こんなに削ったんだ。最初の金星音楽団のシーン、無駄の無い文章だとは感じていたのだけれど、なるほどね。ここもいらない、これも書かなくても通じる、ざくざくと削っていった跡が読み取れて面白い。猫のリクエスト、最初は「シューベルトアヴェマリア」だったのね。あらまぁ。しかも、「もうチーズなんか取りませんから。」「なに、チーズを食ったのはお前か」って、いきなり猫がカミングアウトしてるよ。びっくり。

 後半の絵本原画は、なんとも贅沢。あの作品、この作品、あの作家
。堪能堪能。同じ作品でも、挿絵作家が違うと随分イメージが変わる。いかに宮沢賢治の作品が、人の想像力と創造力をかき立てるのかと言う事を感じる。やはり『セロ弾きのゴーシュ』は気になる。『猫の事務所』『クンねずみ』もチェックチェック。で、一番のチェックは『土神と狐』。中村道雄さんの「組み木絵」作品に目を奪われる。美しく、せつない。さて、この世界をどうやって舞台に乗せるか。

 水曜日は関連企画として、図書館でこどもお話会があると言う。どんな風に子供達に聞かせるのだろう?と気になったので、その時間に合わせてすぐ近くの図書館へ。
 あ、あれ?閉まってますよ。中では職員の人たちが棚卸し中。へ?声をかけてみると、月の最終日は閉館って、はぁ?
 これは、図書館の責任ではないよなぁ。美術館が、そのことを広報に含めておくべきこと。会期中毎週水曜日って書いといて、最後の水曜がアウトってのはね。今後も同じような事があると問題でしょう、とここは学芸員魂で、ひと言御注進。あくまで笑顔で。
 でもね、ほんとはね、再入場不可ってのが不満。結構、気合の入ったオーガニック系のカフェレストランがあるのね。いったんそこで休憩して、もう一度観に行きたいと言うのは駄目なんですか?

 図録と絵葉書を購入。これでとどめようと思ったが、ついつい、ハンカチ購入。賢治の絵をプリントしたもの。色遣いが好みだったのよ。しかし、圧倒的に『雨ニモマケズ』が人気ですか。「やっぱり、これよね。」なんだそうな。そうなの?
 会場でも、宮沢賢治を神聖視している人を結構見かけたな。やはり、今でもそうなのですか?お茶祭り企画の語り芝居はそれへの疑問からスタートしている。で、同じように思っている人が随分いるんだな、と思ったりもしていたのだけれど。うむむ。私は、祭り上げられている賢治さんより、理想通りには生きられずにジタバタジタバタしている、ちょいと情けない賢治さんが好きですよ。