川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

読了『陽だまりの彼女』(越谷オサム 新潮文庫)

 なんともぬくたげなタイトルである。とても、愛らしいお話。

 もともと、相方が読んでいた。「何読んでるの?」基本、本屋さんカバーをかけたままの人なので、聞いてみる。カバーを外すと帯がついていて「女子が男子に読んで欲しい恋愛小説�・1」

 ……え〜っと……

 予想外のカテゴリーに、一瞬沈黙。

 か、会社で何かありました?

「いや、上野樹里主演で映画化らしいから」

 ……あ〜、納得。

 それを聞いていたせいかも知れないが、ヒロインが、もう上野樹里イメージでしか読めない。あて書きか?と思ってしまう。

 主人公の浩介が、仕事で偶然再会した中学の同級生、真緒。勉強が出来ず、さえないいじめられっ子だった彼女は、仕事も出来る魅力的な女性になっていた。
 距離を縮めていく二人。やがて、結婚(なぜか、真緒が性急に結婚に向かう)。陽だまりの様な、温かく幸せな時間。ずっと続くかに思われたその時間が、真緒が、少しずつ、変わり始める。彼女は、ある秘密を抱えていた。

 途中で、あ〜、その方向か、と気付いたが、それは、悪くない。
 大切な人を思い、その時間を大事にする事。日常の中で忘れがちな事を思い出させる優しいお話。

 しかし、女子が男子に読んで欲しいって……。「これ、読んでほしいな〜」と読まされた男子は、プレッシャーだろう。変に深読みしたらオロオロしそうだし。
 ん?最近の相方の態度は……す、素直な人だなぁ。