川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

『阪急電車』に、ほろり

ochamatsuri2008-02-13

 芥川賞受賞で、あっちにもこっちにも『乳と卵』の文字。それを見るたびに、「ボーロの話でっか?」と突っ込んでしまう今日この頃・・・。


 目下、読んでいるのは有川浩阪急電車』。阪急電車今津線を舞台にして、いくつかの人生が交錯していく物語。
 「電車は、人数分の人生を乗せて、どこまでもは続かない線路を走っていく―片道わずか15分。」と言うコピーが好きだ。そう、どこまでもは続かないのだよ。

 さらさら〜っと読めてしまえるのだけれど、そこをこらえてちょびっとずつ読む。いま、折り返し点の西宮北口に到着。
 電車に乗ってる人々の雰囲気とか、ものすごく想像できる。「あ〜、あそこね」とか「あの大学ね」とか。学生の出身地にも、うんうん。女子高校生の会話の楽しいこと楽しいこと。登場人物の一人の帰る先が茨木ってことにも喜んでしまう。関西が舞台だけれど、べったべたの関西弁会話でもないところも、リアル。
 たとえば、阪急沿線に住んでいなくても、関西の人なら、なんとなく判る部分もあるだろう。でも、まったく土地勘も阪急へのイメージも持たない土地の人が読んだら、どんな風に感じるのかなぁ。そんなことが気になるのである。
 甘い、と言えばかなり甘〜いお話。でも、電車に乗っている事が楽しくなる。たまたま乗り合わせただけの他人が愛おしくなる。ヴァレンタインには、なかなか良いのではないかしら?

 表紙イラストの小豆色の車体が懐かしいなぁ。・・・だからと言うわけではないが、週末には帰るのだ。いや、今津線には乗らんのだけど。どうせなら、もっと短い、片道10分足らずの箕面線でも書いてくれんやろか。