川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

歌わされたく無い男

 昨日は、紀伊国屋ホールにて二兎社『歌わせたい男たち』観劇。

 ネタばれの可能性あり。これから観劇予定の人は、ご注意下さいませ。







 とある都立高校。卒業式が始まるまでの2時間弱の騒動。場所は保健室(と、ちょっぴり屋上)。ピアノが苦手な音楽講師(ニックネームはミス・タッチ・・・絶妙やね・・・)、国歌斉唱の際に不起立を決めている教師、何事も無く国歌斉唱が行われてほしい校長、とにかく国旗・国歌の教師、無関心?な教師が出たり入ったり、説得されたり拒んだりのひと騒動。で、結局彼は、起立したのか?歌ったのか歌わなかったのか?生徒たちはどうしたか?そこは、あえてはっきりとは描かれていない。さぁ、どうでしょうねと客に投げかけることで、「どうするのが良いのだ?」と悩ませてくれる。
 なまじ、教職にあった経験上、あれこれ考えてしまう。まぁ、非常勤講師で卒業式に出ることは無かったのだが、どうしていたのだろうね。舞台を観ながら、どっちの気持ちも判るし、どっちの姿も滑稽だな、と思う。どちらも結局、自分の主義主張しか考えていないとも思える。本人たちは、相手のことや生徒のことを思いやっているつもりだが・・・。
 そこそこ大人になっている生徒たちからは、そんな姿はどう見えるのだろうね。(ドアのすりガラスの向こうに生徒たちの影が映る、と言うシーンがあったが、あれは誰がやってるの?とそんなことが気になったりして。)で、拝島先生の生徒が取った行動は、ねぇ。それはいかんだろう。とても、卑怯な、手段を選ばない行動と言うか。いや、それほど彼は追い詰められていたのだ、と思えるだろうか?私が担任なら、あれが一番傷つくところだなぁ。とても笑えない。拝島先生はどうだったのだろう。そこが、いまひとつ読めなくて。いや、色んな思いが錯綜してどうすればいいのか判らなくなっていた、というところか?だから、最後に彼がどうしたのかも、観客の想像に任されているのか。
 「これはこういう事を言おうとしている作品だ」「作者の主張はこうだ」と言う風には言えないな、と思う。少なくとも、どう行動するかと言うことに関しては。処罰と言うやり方は不味いだろう、とは思う。そこだけは、はっきり言っていると感じるが。

 それにしても戸田恵子さんは、なんと愛らしいのでしょうね。思いっきり天然、かと思えば大人の色気。でもやっぱりかなりドンくさい。そんなミス・タッチは、とても愛すべき女性なのでありました。
 で、今回の私のツボは、大谷亮介さんの校長っぷりでありました。

 会場に入って、アフタートークがあることを知る。秋元康さんと永井愛さん。今日の公演を見ていて気が付いたことって、何ですか〜?どこかに新たな演出が加わるのだろうか。き、気になります。