今年は12月に詩のイベントに顔を出さなかったので、クリスマスの詩を詠む機会が無かったな。
ってことで、珍しく、詩を貼っておこうかと。
季節ものシリーズであり、モノ語りシリーズでもある。クリスマスの詩は、今のところ、3作品。これはその最初のもの。うむ、2005年の作品だ。その後もちょいちょい手を入れてはいるけれど。
私の中で、詩は縦書き。だから、ネットにはあまり上げていないのだけど。ま、たまには、ね。
『永遠のクリスマス』
「買って〜、誰か私を買って〜」
「よ、社長、太っ腹!……メタボ腹!」
「お兄さん、男前、サービスするよ〜。……この半人前!」
「ちょっとぉ、なに見てんのよ。用が無いならどきなさいよ、商売の邪魔よ。
ふん、指輪なんかしちゃって、嫌味ねぇ、」
クリスマスの夜の街角で
なんでやろ
喧嘩を売られてしもた
ゴテゴテと身を飾り、甘ったるい化粧の女
「フン!いい気なもんよね、人間は。クリスマスケーキ、なんて言って、
え、24で値崩れ起し、25で半値以下、26過ぎたらもう売れない、って、
んま〜っ随分な例えに使ってくれるじゃない。
でも、だからってあんた達はほんとに捨てられるわけじゃないでしょ。
チャンスだってあるでしょ。
でもね、私たちは、ほんとに、ほんとに、ぽいよ、ぽ〜いってね。
ね、ちょっと、聞いてるの?」
クリスマスケーキにしては、随分古い例えを知っている
確かに子供の頃にはそんな言い方もあったけど
大人になる頃には「大晦日まで大丈夫」という言い方になり
今や、死語
その計算で行くと
私は大晦日も過ぎ
明けて正月一日にめでたく結ばれ
もう、何回目の年越しやろ……
「いやだ、やめてよ。そんなものくっつけないでよ。ね、店長!」
気が付くと、30%オフの張り紙をひらひらさせて
ケーキは更にご機嫌斜め
華やかなクリスマスの街の真ん中で
うん、ここは私が買うてやろ
……売ってもらえるんやろか
永遠のクリスマス
樹脂で出来た
サンプルのケーキ