26日(土)午後、小布施へ。
ここは、北斎の肉筆画が多く残る町。そして、栗の町。これで3度目の訪問。あ、そうか、20代、30代、40代と、なんだか各年代で小布施に来ているのだな。
まず訪れたのは、岩松院。曹洞宗 梅洞山 岩松院
仁王さんが、なんだか愛らしいです。
そして、畳21畳分の大きさの、天井画とご対面。
北斎の手になる鳳凰図。90歳で亡くなる北斎が、88〜89歳の頃に描いたと言われる絵。
寝っ転がって見られる、と言うので知られていたが、その振動が絵を傷めている事が判ってきたので、今は、置かれている長椅子に座って静かに見ること、となっておりました。ちょっと残念。でも、それが問題になるくらいに、多くの人がここまで足を運んでるってことなんだよね。
と言うことで、首が痛くなりながら、ただただ見上げる。
これを、床に這いつくばるようにして、画狂老人が筆を振るったのだ、と。その筆致を、今、ここで感じている事に、ふいに涙が出そうになる。最後まで、本物の絵を描くことを求め続けた、その息遣い。もう、ゾクゾクします。
いったん、そこを離れて、もう一度戻って座りなおして。首が「……限界ですぅ」と言うまで、北斎パワーを浴びさせて貰いました。
ところで、北斎見たさにやってきた岩松院だが、実は、福島正則や小林一茶ゆかりのお寺でもあるのでした。
そう、ここ、実は福島正則公の霊廟があるのです。改易・転封されて、こちらに来ていたため。大河ドラマなどで、あまりいい感じで描かれにくい福島正則。それにしたって、去年の大河の、あれは、どうなんだ?と。あまりに短慮であほっぽく描かれ過ぎじゃないか?とテレビの前で疑問符でしたわ。
と言う思いもあり、どうぞ安らかに、と手を合わせる。
そして、お寺の裏手には池。
ここでの蛙合戦(アズマヒキガエルの産卵の光景)を見て、かの小林一茶が
「痩せかえる 負けるな一茶 これにあり」
の句を詠んだのだとか。
帰宅して、相方に土産話をしたときのこと。
「ここ、一茶の蛙の句が生れたところなんだって」
「へぇ。蛙飛びこむ?」
「ん、それは芭蕉」
「あ……」
しまったぁ、と言う表情が面白かったですわ。