川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

水の器

 先日のポエトリー・ナイトフライト二次予選に出した作品。

 

 解説は野暮ってもの。今、これがどういう風に読まれるのか受け止められるのかと言うのも知りたかったのだ。
 感想票を読みながら、色々考える。
 ってことで、野暮を承知でちょこっと解説。と言うか作品背景について書いてみよう。
 
 これは、もともと10年前、2011年に書いた作品。だから、時間の経過や距離の変化で後半の「あの春」の部分は変化している。最初は「最近」と書いていた。その後「3月」「あの春、横浜」など変化して、今回は「あの春」だけにした。
 あえて、10年前の3月の関東の景色であることを消してみた。具体的な「あれ」と気付かせる必要があるのか?もしかしたら、もっと多様なとらえ方が出来るのではないのか?と思ったというのもある。
 とは言え、私にとっては、やはりこれは、あの巨大な水の器のことなのだ。
 あの日からの、特に子供たちと関わる日々の中で感じた不安。毎日チェックしていたモニタリングポストの数値。遊びに行く公園の中の数値の高いポイント。見えないものへの不安(それは、今の状況にも似ている)。タンポポの綿毛に託した詩も書いた覚えがある。あじさいを見ながら湧いてきた酸性・アルカリ性リトマス試験紙を持てと言うフレーズ。作品にできそうだなと、あじさいの他の言い方は?と調べている中で、学名がヒドランジア、水の器と知った時に、カチッとイメージが繋がった。そんな風にして生まれた詩。収束の日は、まだ遠い。