川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

舟歌ゆらゆら

 昨日観に行ったのは、下鴨車窓プロデュース『舟歌は遠く離れて』脚本:田辺剛、演出:山口浩章(このしたやみ)@アイホール
 舞台は船の中。暮らしていた地を追われ、遠い祖国へ向かう人たち。母娘、兄妹、男、船員、そして……
 なんだか、ずっとゆらゆらと船で揺られていた感じがした。登場人物たちの心もずっとゆらゆら不安定で寄る辺が無くて定まらなくて。それぞれの抱えたわだかまりでぶつかり、ふっとそれがほぐれるような瞬間があり、と思えばまた突き落とされて。
遠くどこかの話のようで、すぐそばの話のようで。なるほど確かに観る側の状況で受け止めが変わって来る物語。
 どこか詩のようなセリフが心地よい。
 役者の居方も好み。派手な動きはない。寝る、立つ、座る、横を向く。動作ひとつひとつに無駄が無い。窓のない船底に近いと思われる船室とその更に下。アイホールのタッパが生きる舞台美術。
 胸にザワザワしたものが残るのに心地良かったのでありました。