川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

流浪の手記

 くじら企画『流浪の手記』観劇。


 深沢七郎『流浪の手記』を題材にした物語。
 深沢七郎?あ、『楢山節考』の作者。チラシに書かれた「ある事件」は「嶋中事件」だ。劇的読書会でやったな。あの時はあくまで右翼についての勉強の中でだったから、そうか、その事件での深沢氏のその後ってのは考えてなかったな。
とは言え、これはあくまでその手記をもとにした、芝居。
 一人の男がさすらい流れていく。ひとりがいい、と言いながら、男と他者が関わって行く。それがなにかを大きく変える訳ではなく。不器用な人たちの、どこか優しい時間が流れる。
 題材がそもそも昭和。芝居もかなり昭和テイスト。懐かしさを覚える。客の年齢層も高いわけだけれど、むしろ、若い人が見るとどういう風に感じるのかな、と思う。
 小栗一紅さんの仲居さんが愛らしい。宿に泊まる行商人たちとの距離感。舞台では描かれていない日々の関りが見えるようでした。