いよいよ、善光寺。
びんずる尊者を撫で撫で。あ、撫で仏ね。不調を感じる所は何箇所かあるので、どこを撫で撫でさせていただこうか、ちょっと悩んでしまいましたわ。
そして、いよいよ内陣へ。
広い畳敷きに座って、しばし、ぼー。そして、心の準備。なんの?そりゃあ、あれですよ、あれ。
お戒壇めぐり。
御本尊の安置された瑠璃壇の下を歩き、極楽の錠前に手を触れ、御本尊と結縁する、と言うもの。
真っ暗です。半端無く真っ暗です。正直、怖いです。泣きそうになります。前に来た時は早朝で、頭上では朝の読経が響き渡り、怖かったの何のって・・・。
・・・それが判っているのに、また入ってしまった。
最初のカーブを曲がって真っ暗になり、しばし後悔。なんで入っちゃったのかなぁ。どうしよう。戻る訳にはいかない。でも、動けない。落ち着け。大丈夫、大丈夫。ゆっくり、進むんだ。自分で自分を励まし、前へ。闇がどんどん濃くなる。どこまでが自分か判らなくなる。
ガチャンガチャン。
先に進んでいる人が錠前を鳴らす音がする。近くに聞こえるのに、ちっともたどり着かない。後ろからも人が来ている気配。カップルか。人と一緒だと、少し歩きやすいんだろうな。早いわ。追いつかれると怖い。軽い咳をして、さりげなく、前に一人いてま〜すとアピールしてみる。「うわ、前に誰かいる」と実に素直な反応がありましたわ。
ようやく、錠前に触れる。しっかり握る。でも、これで終わりじゃないよなぁ。出口までは、真っ暗闇がまだ続く・・・
薄明かりが見えてきて、ほっとする。あぁ、出てきた。
これも、一種の胎内めぐりなんだよな。少し、生まれ変われただろうか。
そうそう、本堂の一角に、えらく風格のある柱時計。毎日、ネジをまいているそう。百年以上たっている、らしい。思わずお話を聞きながら、しばし、眺める。
さて、本堂を出て、裏手にも回ってみる。散策路がある。ん?乳牛?森永乳業寄贈。もちろん、生ではなく、人形。牛に引かれて善光寺参り、だからかな。
「善子さん」と「光子さん」
通りがかった御夫婦。御主人が「なんで両方メスなんだ。善雄と光子にすればいいじゃないか」。・・・乳牛親子像です。乳牛なんで、メスでないと絵にならないと思いますが・・・。
更に歩いて行くと、迷子郵便供養塔なるものがあった。年間○万枚とある迷子郵便。届けられなかった可哀想な郵便物を供養しているのだそうな。うわぁ。きっと、私もどこかでやらかしてるぞ。南無南無〜。
歩き回ってちょいと疲れました。
参道で、おやきを購入。ふき味噌、春の味。
どこかでゆっくり座りたいなぁと思い、GOKUさんから御すすめいただいた、ナノグラフィカへ。古民家カフェ。畳の上で足を伸ばしてゆっくり出来る。
紅茶とパイを注文。
ふと部屋の一角の本棚に目をやると、ん?寺山修二の写真が見える。ふむふむと近寄る。昔のテアトロなんかもある。とある戯曲が無いかと探すが、さすがに、無かったわね。でも、短編小説(童話?)が載った本があった。ちょっとお借りして、お茶を飲みながら読む。
・・・誰の作品かと言えば、岸田理生さん。うふふ。
ゆっくりと時間が過ぎる。そろそろと腰を上げて、いったんホテルへと向かう。チェックイン。着替えて、化粧直して、原稿をもう一度チェック。緊張してるのかなぁ、食欲が湧かない。途中で晩御飯をと思ったけど、全然そんな気にならない。結局、そのままネオンオールへ。