川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

茶俚庵訪問

 9/26(土)小布施旅日記は続く。

 小布施で気になっていたスポットが茶俚庵(さりあん)。
 急須コレクションがあると言うのだが、駅で手に入れた小布施観光案内地図を見ると、要予約となっている。
 岩松院の茶店で聞いてみたところ、仙人のようなお髭のおじいちゃんがやっているのだと言うこと。個人でされているので、閉まっている事もあるって事か。
 と言うことで、観光案内に書かれていた番号に電話をする。出ないなぁ、やってないのかなぁと思うくらいの間の後に「もしもし?」
 今から行きたい旨を伝えると、「ああ、じゃあ、開けとくよ」と言う声。ちょっと不明瞭な、でも大きな声に、いささか戸惑いながら、てくてくと向かう。


 ここかぁ。
 と、コレクションがあるらしき蔵は、閉まっておる。母屋に回ろうと思っていたら、後ろから人の気配。

 おお、白髭の仙人現る!
 そして、蔵の扉を開けて下さる仙人。よくよく見れば、ボランティアのTシャツに、ジャージ姿。畑仕事をしていらしたようです。
 ケースの中に並んだ急須達。片隅に座って、「それは、清水な、京都の」「そっちは常滑。急須はそれが一番いいんだ」「昔は使ってたんだが……」と、あれこれ声をかけて下さる。
 脳梗塞の後遺症で、いささか半身が不自由で、言葉が不明瞭になるのを気にされていたが、いえいえ、ちゃんと通じてますよ。大丈夫です。
 なんでも、少し前の「美の壺」で取り上げられたのだとか。あ、ほんのり、記憶にある。そうかぁ、ここでしたか。
 展示自体、こじんまりしたものなので、それほど時間はかからない。
「お茶でも飲んでいくかい?」
 いいんですか?
 お言葉に甘えて、……縁側でいいですよ、と思ったのだが、陽が当たって暑いから、中に入れと促され、すっかりくつろぎモード。
 急須の話、お煎茶の話、北斎の話、あれやこれやで楽しいひと時。いや、ふた時み時。すっかり長居。展示していない急須を見せていただいたりなんだり。ここには書けないけれど、素敵なものも見せていただいて、感動したり。
 「美の壺」プロデューサーさんによると、急須コレクションは、ここぐらいしかないんだそうな。
「雑器だからなぁ」
 と仙人。
 うわぁ、だからこそ、このコレクション、散逸しないで欲しいなぁ。
 そうそう、小布施はオープンガーデンもウリの一つ。ここも、そう。って、オープンガーデンって、洋風、お花だらけの印象があるのだけれど、ここは和風庭園。

「地味だよなぁ」
 と仙人。
 いやいや、それこそ、貴重な存在でしょう。
 楽しすぎて、周遊バスを逃してしまい、北斎館までテクテク散歩となったのも、うん、悪くないな。