川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

北斎北斎

 さて、今回の滞在は、友人のおうち。大正年間に立てられ、関東大震災でも大丈夫だったと言う古民家。古いままのところと、暮らしやすく手直しされたところがええ感じにまじりあっておりました。
 古民家は、住む人が丁寧な暮らしを心得ていないと、綺麗に暮らせないよなぁと思う。
 と言うことで、ゆっくり休ませてもらい、起床。お仕事お休みの友人としばしお喋り。野菜たっぷりのスープが嬉しい。

 手土産は、鶯ボール……って、抹茶味ってのを買ったら、うわぁ、見た目に鶯ボールっぽさが……判らんではないかっ。思わず、画像検索して、こんなのっと見せておりました(笑)。

 日中のお出掛け先は、出来上がったばかりの「すみだ北斎美術館」。まずは、NHKのロスト北斎で見た、牛嶋神社に奉納された額を、写真から復元したもの。


 「北斎っぽくないよねぇ」と言っている人がいたが、そりゃあなた、富嶽しか知らないってことでしょう。と言う突っ込みは心に納め、まずは常設展へ。

 この美術館の常設展は、基本的に撮影オッケー。ダメなのは、ダメと書いてある。
 とは言え、そこそこ込み合っているので気を使いつつ……もう一枚撮りたいのがあったんだけどなぁ。

神奈川沖波裏」の構図は、早い段階からあったのね。と言う一枚。いやそれよりも、この赤い唐草模様の縁取りですよ。西洋絵画の研究もしていた北斎らしい作品。
 撮り損ねた作品は、潮干狩図。一瞬、落穂拾いか?と思いました。まぁ、落穂拾いはも少し後の時代ですが。背景の山の描き方とか、日本画と言う枠じゃないよなぁ。

 北斎の暮らしぶりをお弟子さんが描いたものがあって、それを基にした模型が江戸東京博物館にある。と思ったらここは、ど〜んと、蝋人形。ちょっと生々しくてびっくりする。
 タッチパネルで色々遊べるコーナーがあるのは今時。

 さて、常設展は4階、企画展は4階と3階と言うことなので、まず常設展に行ってから企画展へ言ったわけです。

北斎の帰還−幻の絵巻と名品コレクション−」
 100年程行方不明にいなっていた絵巻「隅田川両岸景色図巻」がメイン。絵巻なので、もちろん肉筆。最初の方は、手前に大きくはっきり人物が描かれているが、遠景の人物群は省略気味。そこからず〜っと隅田川沿いの景色。人物群は、省略どころか完全にシルエットで表現。橋の上の人々は傘の群れになっているのが、なんともしっとりした気持ちに。
 で、向かっていく先は吉原なのですね。『みをつくし料理帖』でも何度も出てくる道が描かれている。そうして絵巻の最後はいきなり、吉原楼上。吉原に上がって遊ぶ人々。ふ〜む。
 と言うことで、ぐる〜っと北斎堪能。

 ああ、やっぱり肉筆画が好き。でも、浮世絵も良いなぁ。北斎は彫刻を学んでいた時期もあるので、そのあたりのこだわりも強い。彫師・摺師ともに、細かくあれこれ指定されていたんだろうなぁ。
 生で見ないとその魅力が判らない空摺りとか、好きだわ。
 などと言いつつ、やはり、肉筆画の前を何度も行ったり来たり。一般的には、富嶽とかの方に人が集まるのか、あまり人が群れないのをいいことに、そばに寄ったり離れたり、しゃがんでみたり。そこに、北斎が筆を置いていた姿を想像するだけで、震える〜。
 鮟鱇図とか、たまらん。

 図書室もあったので寄ってみる。北斎に関するものだけでなく、浮世絵や江戸文化に関する書籍がある小さな図書室。過去に他の美術館で開催された肉筆画展の図録を眺めてえへえへする夕刻でありました。

 顔出し看板はあったけど、一人だったから、残念。カッパになり損ねました。

 美術館は地域の小さな公園にあり、スカイツリーも見えます。もう、すっかり東京の風景の一部だなぁ。

 3階から降りるのに、階段を使わせてくれないからエレベーター待ちの長い列が……とか、地下のトイレが広いのに、男女ひとつずつの個室の1階トイレに人が並んでしまっていたり(「地下にもトイレがあります」と言う小さな貼り紙だけじゃあ、ひとは動かないですよ)。と、いささか問題点も感じるが、まぁ、開館したてで人が多いからかな。一年もしたら落ち着くのかな。
 ……アンケートは企画展を出た3階にあったので、そこで書いて出した。1階まで降りて来たことで気が付いた上記問題点は記入できず、というのも、ちょっとどうしたものか。
 ミュージアムショップも人だらけだったので、両国駅まで戻って、江戸東京博物館のショップで遊ぶ。ここは、もう、よく知った場所。楽しいのです。