川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

『財産没収』

 アトリエ劇研にて、山口茜さん演出の、サファリP『財産没収』を観る。
 2015年の利賀のコンクールで優秀演出家賞だった作品。日程の関係で見られなかったから(長堀グループが利賀を去る日に、利賀入り)、ずっと気になっていたのだ。
 
 テネシー・ウイリアムズの戯曲はそのまま。ただし、少年と少女の二人芝居を、解体・構成し、女一人と男二人の芝居に。作者、テネシー・ウイリアムズの姉との関係や、彼自身のセクシャリティの問題を重ねていく。ここには彼のこんな思いが反映されているのではないか、こう言う背景があったのでは、そんな解釈をしながらの再構築。『財産没収』の、と言うかテネシー・ウイリアムズ作品の持つ、やりきれなさ、孤独、いらだちは、くっきり。
 利賀で観た他の『財産没収』より面白かったな、と私は思ったのでした。同じ戯曲を違う演出で何本か観ているが故の観方ではあるとは思うのだが。
 確かに、一般向けではないのかもしれない。利賀のコンクールならでは、とも思う。
 でも、今回の公演を観た人は、え?じゃあ、もとの戯曲だとどうなってるの?テネシー・ウイリアムズってどんな人?と興味を持つんじゃないのかな、とも思ったりしたのでした。