川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

踊る心

 猫の映画ではない、「名付けようのない踊り」。ダンサー田中泯さんのドキュメンタリー。あちこちでの泯さんの場踊りの映像と、来歴。模索していた頃、裸で踊りだした頃、plan-B、畑……時々挟まれる土方巽さんのこと。AIホールでの世界演劇講座が今年度は「アングラ演劇」がテーマで、土方氏のことがしばしば出て来ているので、予習してきた気分。『たそがれ清兵衛』の一部が流れ、それは想定していなかったので、真田さんファンの私はくらくらする。


 印象に残ったシーン(以下、ネタバレ可能性あり。)
・フランスの教会で踊った後の観客との対話。観客から私の内側が踊っているという言葉があり、泯さんがそれがダンスだと答える。観ているあなたと私の間に生まれるのがダンス。言葉のない時代のコミュニケーション。専門家はいなかった。この会話をしている時の泯さんが、とても幸せそうで、一緒にその硬い石の床で対話に加わっている気がした。
・クモのために踊る。東日本大震災の被災地の一角で出会った蜘蛛をみつめ蜘蛛の踊りを踊る。確かに、そこに蜘蛛がいた。手足の数が違うのに、確かにそこには踊る蜘蛛の姿があった。
・アニメ。泯さんの子供時代が泯さんの語る言葉とともにアニメで描き出される。夢と現実のあわいのような。
・猫。40代から、野良仕事で鍛えた体で踊る泯さん。その畑での映像に田中家の猫たち(ヤギも)が……。ちゃんと名前がテロップで出る。田中○○。
・踊り終わって、「あ~、幸せ」と言う笑顔。


 観終わっての帰り、確かに私の内側も踊っていた。内側から身体が動き出す感覚で歩いていたのでした。