川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

浪板の人

 大阪に戻ったことで、もう玄関からの眺めを確認することは無くなるんだな。
 夏に旅した岩手。浪板海岸近くで出会ったあの女性はお元気だろうか。バス待ちの10数分。ふと目が合って言葉を交わした。母に近いであろう年齢。問わず語りに聞かせてくれたあの日のこと。
「あの軽トラで逃げて、私は助かったの」
 私は、と言うその言葉の意味をかみしめた。バスが来て、手を握り合って手を振って別れた。バス停のすぐ近くの道路脇の畑にいらしたのだが。

 22年前の震災は、大阪。6年前は横浜。ともに、真っただ中にいたわけではない。けれども、どうしようもなくその影響が間近にあった場所。
「あなたは大したことなかったんでしょ」と言われて口をつぐむのは嫌なのだ。この距離感で語れることがあると思っている。
 前にも書いたけれど、首都圏の人が、6年前のことで「経験したし、なんとかなる」と思ってしまいそうなことが怖い。直下型は、状況が全く変わる。あの時は、帰宅難民になっちゃったから、飲もう!とお店に入った人たちもいたと言う。それは、揺れは大きかったけれど、遠い震源地震だったから。
 ……その前に、まずはどこででもいいから、スニーカーを買って下さい。お仕事靴だと、死ぬよ。

 と書いていたら、紐もほどけたりすると危険じゃない?と友人から。確かに。それでも、パンプスよりは、ね。
 舞台で使う靴で紐が付いてるのは、紐の出ている部分は、外に出ないように横に渡している紐の下に入れ込んでるなぁ。子供の履くズック靴が理想か。上履きとか。