川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

合掌。

 彼の作品に初めて触れたのは、大河ドラマ『黄金の日々』。歴史好きといっても、まだ、歴史漫画や子供向けの伝記レベルの知識であった小学生に、呂宋助左衛門とか今井宗久とかを教えてくれた。有名な人だけではなく、その他の名も知らぬたくさんの人々の存在が歴史の面白さなのだと教えてくれた(石川五右衛門も、この時知ったんじゃなかったかな)。
 原作は親の書棚にあったが、子供にはちょっと手ごわくて、読みきれないままだったな。

 大人になり、教壇に立つことになった。あまり得意ではない近現代も教えなくてはならない。その頃を題材にしたものを読み漁った。その一冊が『雄気堂々』。渋沢栄一の物語。明治の世を作ったのは、政治的な才覚を持つ実業家であった、と思わせる物語。教科書ではほんの脇役としてしか登場しない彼が、どれほど大きな役割を担ったことかと、また新たな思いをさせてもらった。

 最近読んだのは『風雲に乗る』。へこたれない男の、爽快な物語。

 彼の作品は、タイトルを見るだけでも、何か力を感じる。その作品を読むと、志、気概、気骨と言う言葉が思い出される。背筋が伸びる。

 その登場人物たちが一石を投じて作り上げた世の中が、良かったのかどうかは判らない。が、その生き様はやっぱり、かっこいいと思うのだ。
 熱い思いを持って生きたい。そう思わせてくれるのだ。

 決して、熱烈なファンと言うわけではないけれど、確かに影響を与えてくれた作家の一人が亡くなられた。


 城山三郎さんのご冥福を、心よりお祈りいたします。合掌。