川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

森の中のこども

 先日、マームとジプシーの「コドモもももも、森んなか」を観てきた。

 ここの芝居は初観劇。

 登場人物は、子供。大人の役者達の演じる小学生が妙にリアル。軸になるのは、3人姉妹。小学生の長女と次女と保育園児の三女。そこに、長女・次女の同級生。ある一週間の出来事が、行ったり来たりしながら何度も演じられる。同じシーンが方向を替えながら繰り返されたり、主体になる人物を変えて繰り返されたり。そして、同じシーンなのに、少しずつ、違っている。
 あぁ、これは「やぶの中」なのだと思う。同じ出来事が、人によって違う。いや、同じ人間の中でも、繰り返されることで密度が変わってくるのだと。面白い見せ方だなぁと思う。

 ストーリーに関しては、まぁ、私自身が三人姉妹なので、あの関係性が妙にリアルで胸に刺さったと言う事ではあるのだな。お姉ちゃんごめんよと今更言いたくなる、次女です。ラストの次女の心の声は、あぁそうだよね。あんたは、ただ、そう言いたかったのだよね、とせつなかったです。
 あと、いま学童で働いていることも、影響してるかなぁ。あの、興奮して何言ってるか判らない感じ。でも、子供同士では通じているらしいのとか、子供なりの理屈。子供は、その段階で一番成長のてっぺんに居て、その段階での精一杯の大人なのだと言う感じが、ね、その残酷さも身勝手さも含めて可笑しくて、可愛くて。・・・でも、これって大人も同じか?とも思うが。

 残念だな、と思ったのは、団地の中や学校は見えたのだけど、公園やら秘密基地のある森やらの風景が、いまいち見えなかった事。人工的なものは見えるけど、それ以外が、立ち上がってこないなぁと、これは、家に帰ってふと感じたこと。あと、上演時間が少々きつかった。これは腰痛の所為か?母が「ごめんね、これ以上は小劇場は見に行けないわ」と言った気持ちが良く判る。色んなエピソードが繋がっているのは判るのだけど、ちょっと詰め込みすぎかな、と。
 んで、結局のところ、中学生になっても、森の中をさ迷ってるのかなぁ。なんだか、ずっとさ迷い続けてるんじゃないかと言う気もして、ちょっと心配になった次第。
 下手すると、子供ってそうだよねぇ、うんうん。それだけ、で終わってしまいそうで。何か、先に向って行く、力になる物が欲しい。

 ん〜、だから、絶賛!では無いのだ。ただ、ここが、他にどんな物を作るのかをもう一度見て置こうか、とは思えた。・・・最近、若い人の公演見に行って、次回も見ようとは思えないことが続いたので。