川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

その街のこども

 映画「その街のこども」を観に行った。と言う話は、先の日記でチラリと書いたが。

 写美での上映は終わったけど、まだ上映しているところもあるので、是非、観に行って欲しい。
 http://sonomachi.com/

 災害は他人事でも過去の事でもないと言う事、受け止めきれない災厄にあった人間の思いはどこに向かえばいいのかと言う事。これは、ただ神戸の事を描いたものではなく、誰にも当てはまる事。
 人の痛みに誠実に向き合う、良い、映画だったと思います。
 お時間のある方、なにか引っかかる物を感じた方は、是非。
 



以下、ネタバレもあるかも・・・・






 当時の映像は、それほど多くは出てこない。それでも、あのオープニングは、きつかった。先に見に行っていた相方からも言われていたので覚悟をしていたのだが、一人で見ていることが辛かった。

 震災から15年を迎える神戸。子供の頃に震災を経験し、その後神戸を離れた男女が、偶然に神戸で出会う。翌朝の追悼のつどいに、今年こそはと決意してやってきた美夏と、広島への出張途中に何故か新神戸駅で降りてしまった勇治。あの時の体験も、思いも異なる二人が出会い、一晩歩き続けて会場に向う。ただ、それだけと言ってしまえばそれだけなのだが。その中で、それぞれが、あの時から負ってしまっている痛みに向き合い、超えて行こうとする。それは、ようやっと、15年たったから出来たこと。超えられるだけの力を持った大人になったから出来たこと。
 やっと、15年なんだと思う。立ち向かったり折り合いをつけたり出来なかった、その街のこどもに、必要だった時間。きっと、まだ時間が必要な人はたくさん居るのだと思う。
 ふと、母はどうなのだろうと思う。あの街で生まれ育った母。あるいは、あの街に通う学生だった妹は?大阪でオロオロウロウロしていた私より、どれ程の口に出来ない思いがあるのだろう。

 夜の街は、コンビニもあり、街灯もつき、それは明かりの消えたあの時との違いを浮かび上がらせる。「きれい」と言う事が出来る夜。

 この映画、もともとはドラマとして撮られているのだけれど、ドラマっぽく無い。ドキュメンタリー風に撮られている。主役二人も、だから、とてもナチュラルで。こんな不細工な顔してる森山君撮ってもええの?奇麗じゃないサトエリってオッケーなの?と思う。実際に体験した二人。主役の年齢は、二人の年齢に合わせてある。でも、体験したからリアルで上手いと言う話しじゃないよね。うん、この二人が、役者であると言う事も見せてもらえた気がする。そして、合間合間の津田寛治さんが、可笑しい・・・。やりすぎ?とも思うけれど、津田さんのシーンが無かったら、ちょっと辛すぎる。内容もだけど、暗いもの、明かりが。ずっと夜の街で、二人の顔も明瞭には映らないから。時々、はっきりした明かりが必要なんだな。

 印象に残るシーンはいっぱい。暖かくて、せつなくて、優しくて。大事にしたい映画です。