川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

北斎と広重 

 最終日滑り込みで「北斎と広重展」を見にいく。北斎が好きなので、もう、何度も見てはいるのだけれど、いやはや壮観。北斎の冨嶽三十六景、広重の東海道五十三次をずら〜っと並べられると、もうお腹いっぱいならぬ、お眼々いっぱい気分。こういう特別展を見に行くと、かならず「常設展もどうぞ〜」と言われるのだが、とてもそこまで体力持ちません。ごめんなさい。
  
 版画、というところがすごいな、と思う。元の絵がどんなに良くても、それを理解する彫り師と摺り師がいなければ、人の心をつかむことは出来ないのだ。そして、版画であるからこそ、多くの人が手に取り楽しむことの出来たということ。
 そう、これは現代における写真、イラストの世界なのだ。役者絵はブロマイド、風景画は旅行ガイド、春画は…言わずもがな。だから、とてもサービス精神に溢れ、遊び心があり、見ていて楽しくなるのだ。
 何かをしている一瞬をとらえて描こうとしている辺りも、写真に近い。風に飛ばされる笠、追う人。旅の途中、大木を手をつないで囲み、太さを確かめる人々。声が聞こえてきそうだ。

 そうか、大量に摺られる版画でなければ、ヨーロッパに渡りゴッホに影響を与えることも無かったのか。と、今更ながら、そんなことにも感動。

 あと、直接見ないと絶対判らない、色を入れずに、彫り後だけで表現された波にも見とれてしまう。図録ではそこまでわからないもの。版画ならではの表現。


 でも、実は北斎の肉筆画も好きなのだ。小布施の北斎館はお気に入り。また行きたいなぁ。

 帰りにミュージアムショップで絵葉書購入。伊藤若冲の伏見人形。こういうのもあるのかと、ちょっと驚く。秋には「若冲展」が京都に来るらしいので、これも楽しみである。