川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

戦いを振り返る

☆一回戦 vsカマコ選手☆
一発目、自分のスタイルを印象付ける必要がある。幸い、第1・2試合で出場した4人がそれぞれタイプが異なる選手だったので、ほどよく客席も暖まっている。女の詩を。『かぐや』で攻める。「タモリ倶楽部」の撮影が押していて遅刻の安齋氏に代わって女性が入ったことで、ジャッジに大人の女性が二人。これは心強かった。若い学生が多い客席の反応はともかく、ジャッジの反応は、悪くない。
が、ここで後攻のカマコ選手が捨て身の自虐ネタ。これが、楽しいのだ。自分の身に立て続けに起こった不幸を、実に楽しげに語っている。
客席も盛り上がっている。こ、これは、やられたかも知れん。内心、かなり焦る。

☆二回戦 vs馬場めぐみ選手☆
心の内側から搾り出すような言葉を持つ彼女。どこか不安げな佇まいは、それだけで存在感。彼女に対して先攻とは、これまた厳しいなぁ。選んだのは『蜘蛛の糸』龍之介への異議申し立ての詩。実は、原稿にしたのは前日。それまでは、始めと終わりだけで、間は真っ白な原稿でやっていた。言いたい事を即興でまくし立てる、と言う形で。でも、それでは3分超えるので、今回初めて原稿化。即興で読んでいた時と同じ生の感覚で読めるかどうか、これも挑戦。

☆三回戦 vs広瀬犬山猫選手☆
ここで、ようやく後攻。広瀬選手は、相手の詩を即興で取り込んで来るので、彼に対して先攻にはなりたくないと思っていたのだ。3分にびっしり言葉を入れ、確実に届けてくる。ここは、先の2作品とは視点を変えないと、まずい。ということで、自分自身をネタにした『さる声』。箕面と言う、関東の人にはピンと来ないローカルネタ。されど、ジャッジには大阪出身のN.U.のお二人がいる。これは、もう、賭けやね。

☆四回戦 vs友人代表KANEZASHI選手☆
再び先攻。友人代表としての挨拶と言う形で二人の女の応酬を描いて勝ち上がって来た彼は、恐らく同じシリーズで来る。さて、私はどうする?どうすればいい?待った無しで作品選び。候補は二つ。どっち?どっちだ?確実に客席に受ける、盛り上げる彼の作品に対し、私らしく戦うには、どれだ〜?うわぁ、決められない!


「え〜、ではここで、決勝戦に臨むお二人に、今の気持ちを聞いてみましょう。」


 などとマイクを向けられても、まともに答えられません。すみません。かなりテンパっている私。


「では、いよいよ決勝です。」


 うわぁうわぁ、と慌てて立ち上がる私。どうしよう、どっちを読もう、答えが出ずに、焦りまくり。





「その前に、N.U.のお二人から、応援の歌を!」





 ・・・本気でずっこけそうになる私・・・いや、ここで笑いを取るつもりでは・・・



 そして、ノリノリで歌いだすお二人。



 いや、しかし、おかげで落ち着きました。お二人の歌に、すっかりリラックス。と、選ぶ作品が見えた。それまで迷っていた二つを捨てて、『桃の話』。私の中では『かぐや』とセット。と言うか、これで、今回読んできた作品が、なんとなく、昔話・民話系で繋がるわけだ。悪くない。
 そして、いよいよ即興。私のお題は「空耳」。黙って考えようとすると、あの場では真っ白になってしまうので、とにかく喋る。「空耳」にまつわる思い出。しかし、内心これではいかんと思ってる。これだけじゃだめだ、展開しなきゃ、視点をぐるっと変えて世界を広げなきゃ。大阪大会で2度目の決勝戦、小笠原選手に敗れた時の即興と同じ事になってしまう!ええい、空に浮かんだ耳に叫んでみる。「からみみ!」さぁ、どうする、どう転がす!・・・あ、ゴング、終了〜。
 KANEZASHI選手のお題は「手帳」。「即興は・・・」と仰っていたが、なんのなんの、ええ感じで転がしていきはる。うわぁ、やばいなぁこれは。
 「覆水盆に返らず」とか「後悔先に立たず」とか、いらんフレーズが頭の中で渦巻くのであった。



 ざっと、こんな感じ。正直言って「勝った」などと思った試合はひとつも無い。実際、リング上からはジャッジの様子が良く見えるのだが、ものすごく迷ってはる。「判定は!」の声に、半数がさっと上げ、半数が迷いながら、迷いまくって、バトンを上げている。あの迷いっぷりは、ほんまに、どっちに転んでたか判らない。だから、私は勝ったのではない。詩ボクは、勝ち負けや優劣を競うものではないのだ。
 あの日の流れに、たまたま私が合っていて、先に進ませていただいた、そう言う事だ。

 とは言え、やはり、嬉しいのは確か。自分の言葉が届いたことが嬉しい。そこはね、やっぱり素直に喜んでます。