川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

静かなる語り

 我が故郷、箕面の新市長は、最年少市長なんだそうな。私より若いよ。どんな人なのかなぁ。写真、記事は見たけれど、実際にどんな風に言葉を使う人なのだろう、そんなことが気になる。
 そういえば、現在住んでいる横浜市の市長も、当選時は最年少市長として話題になったんだっけ。

 同じ内容でも、どう語るかで印象も受け止め方も変わる。そんな当たり前のことを改めて思ったのは、この夏の帰省時のこと。
 大野から横浜へ、相方が車を運転して戻る道中、夜中の高速道路(深夜割狙いでもあったのだな)。眠気覚ましにラジオをつける。『ラジオ深夜便』。時期的に、戦争に関する企画らしい。
 太平洋戦争での特攻と言えば、「ゼロ戦」や「回天」を思い浮かべるのだが、話題は「桜花」と言う特攻機の話。大型の爆弾を搭載した小型飛行機。と言っても、自分で飛べない。母機で運んでもらって、目標近くで切り離され、方向をコントロールしながら突っ込んでいくだけ。と言うようなものだったらしい。しかも、母機も、かなり目標の近くまで行かねばならず、結局、母機もろともやられてしまうことが多かったらしい。そんな母機に機関士として乗り込み、生還した人物による語りであった。
 何と言うか、実に淡々と、正確に語る方であった。機関士と言う立場からか、随所に数字を出して話を進める。おそらく80代。記憶も言葉も声も、しっかりしてらっしゃる。泣きで訴えたり責めたりするのではなく、激することなく静かに、語り続ける。それだけに、ひしひしと、その無残さ、無念さ、後悔が伝わってくる。
 眠気も忘れ、運転手も助手席専門も、背筋を伸ばして聞き入ってしまった。終わっても、しばらく声が出ない。内容だけでなく、その語りに、やられてしまった。


 すっかりまじめな面持ちになった二人。やがて番組は、次のプログラムへと進んで行く。今度は源氏物語千年紀朗読特集。田辺聖子さんの源氏物語、「若菜」。これがまた、良かったんだわ。聞きやすく楽しくて、源氏の言動にいちいち突っ込んでしまう二人でありました。
 自然に対する美しい描写の一方で、ほんま、光源氏よ、あんたって男は・・・。この物語を読んで、当時の女性たちは、「光源氏の君って素敵」と思ったのだろうか?それとも、女達の誰かに共感して読んでいたのだろうか。
 現代女性に人気があるのは六条の御息所だそうな。あの生々しく女であるところが、良いのかな。私は、末摘花が結構好き。わが道を行ってるなぁと思う。そんな彼女を思い出し、訪ねていった源氏は、褒めてやろう。・・・何様・・・。