川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

清流劇場『メデイア』

 この先、しばらく観劇の時間が取れなさそうな中での追い込み観劇の締め。
 清流劇場『メデイア』。
 もうね、色々、凄かったです。休憩込みの2時間半、客をひきつけ続ける林英世さんのメデイア。
 あの凄惨な復讐、子殺しに至る思いが、凄まじい痛みで伝わってくる。なぜ、誰も彼女を救ってやることが出来なかったのかと、苦しくなる。
 言葉で伝えられるクレオンとクレウサ父娘の死に様は、生々しくて吐きそうになる。言葉だけだったのに、いまだに、それを見せつけられたような感覚が残っていて……。
 ギリシャ劇だけれど、舞台セットは現代。でも、演じられているのは確かにギリシャ劇。膨大な台詞を語りながら、ホットケーキを焼くわレンジでチンするわお湯沸かしてお茶いれるわ、食べるわ飲むわ、洗い物するわ(主にメディア)。あまりにも普通で、日常で、だからこそ余計に、この悲劇が遠い時代の異国の物語ではなく、今、まさに起きている悲劇として立ち上がる。
 そして、静かに、静かに、物語に忍び込んでくるピアノの音色。
 はい、今、頭の中がいっぱいいっぱいです。見逃さなくて良かったと、心底思うのでありました。