9年前の3月11日の午前中、大阪の実家から、横浜の住まいに荷物が届いた。
果物だのなんだのと一緒に「いかなごのくぎ煮」が入っていて、春を感じてウキウキしていた。
ウキウキしていたのは、楽園王の『楽屋』の稽古が本格的に始まる日でもあったから。『楽屋』2ヴァージョン+『かもめ』って言う、なかなか面白い企画だったのだよ。
そんな浮かれ気分を吹っ飛ばした2時46分。
朝、出掛けるときの夫の姿、稽古のこと、学童の子供たちが下校時間であること、いろんな事が頭をよぎった。
その後の余震、原発事故、物不足、計画停電、ザワザワする毎日。ゴールデンウィークに大阪に帰省した時に、ずっと緊張しながら生活していた事に、気が付いた。
今、また、あの時のようなザワザワした思いを抱えるとは。
演劇人としてのあり方、子供たちとの関わり、大切なことを忘れてはいないか。自分の立ち位置を、見直す日。
カレンダーのグレーが、毎年、私の心を引き締める。