川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

天川日記〜初日・着いた人着かない人

 五条から奈良交通のバスに乗る。
 途中、「南朝三帝ゆかりの地」と言う看板に、萌える。南朝行宮が置かれた、賀名生(あのう)の地です。
 下永谷と書いて「しもえいたに」は、小さくツボ。これ、横浜の地下鉄に同じ字の駅名があるのだけど、読みは「しもながや」。谷を「や」「やつ」と読むのは東日本。
 どっちもマニアックなツボなので、同意を求めようがないわさ……

 バスはどんどん山奥へ山奥へ。これはもう、遠足です。って、お〜、バス代いくらになるんだ?料金表には4桁の数字。結局、約1時間ごとごと揺られて1000円越え。
 バス停に着き、そこから迎えの車で、ぐんぐん上る上る。ここ、車で行けるんですか?と言いたくなる道をぐんぐん上る。運転技術、凄くないですか?……えっと、3人掛けシートの真ん中に座って良かったと内心ほっとする程に、見下ろす光景が広がっておりました。窓側(谷側)に座ってたら、青ざめていたゾ、多分(……高所恐怖症なんです)。

 てことで、到着!築100年越える古民家です。半端なく、古民家です。

 写真の左手がお風呂場とトイレの建物、右側がお家。見えてるのは増築部分と台所。この奥に、稽古場(舞台)スペースなどがあります。

 まずは、集合!
 ……電車の乗り間違えで遅刻が一名。普通は、この人がその日のネタの中心になるはずだが……斜め上を行く遅刻者が……

 予定時刻に五条駅に着いたのに、バス停が無かった方が一名……
 あなたが降り立ったそれは、京都の五条駅〜。
 どんな人かも判らぬまま、あだ名は「五条さん」に決定(笑)
 初日最大のトピックでした。
 あ、誰が五条さんなのかは、本人の名誉のため、伏せておきましょう。でも、ごめん、もうあなたのことは五条さんとしか認識できません(笑)。
 さて、五条さんが到着して全員揃ったところで稽古場に移動。
 顔合わせのご挨拶。キャリアが長そうな人もいれば、これが演劇に関わる初めの一歩の人、学生劇団の人、雑多な13名と、演出の田辺さん。そして見守る、M.M.S.T の皆様。
 まずは、二本の戯曲をざ〜っと読む。
 仮名遣いや文体の違いに引っ掛かりつつも、一人の目で読むより、複数の人の声で読む面白さ。
 感想、考えたこと、疑問、あれこれざっくばらんに話し合う。たくさんの解釈、捉え方が面白い。「そこ、自分はこう捉えたんだけど」「こう言う考えは?」色んな意見が「あ〜、なるほど」「そう言うのもありか」と、否定されずに受け入れられ咀嚼されていくことに、ワクワクする。
 鈴木泉三郎と言う大正期の劇作家の作品。言葉遣いが今とは違う。『谷底』は山の手言葉、『火あぶり』は江戸言葉。でも、描かれている物語、心情は、現代に通じる。と言うか、かわらないものなんだよねと言うところか。
 『谷底』の読みが「たにぞこ」ではなく「たにそこ」であると言う話に、「あ」と得心する。口にした瞬間、なんともヒヤッとしたものが谷底から吹き上がって来る感じがする。うん、そうだ。断然これは「たにそこ」だ。



雄大な眺め
・女子部屋の一角
・「ここから落ちたらひと思いに死ねましょうね」と言う台詞にぴったりな光景。