川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

眼がお祭り

 金曜の夕方、上野に行ってきました。国立博物館。関東暮らしになってから一番出掛けているのは、実は、劇場ではなくここなのではないかと思う今日この頃。でもって、金曜は開館時間が延長されているので、相方とおデートコース。

 今回は、「皇室の名宝〜永徳、若冲から大観、松園まで〜」。ええ、若冲ですよ。若冲展を見逃したことがずっと心残りだったので、今回のこれは逃しちゃならんと。

 でも、まず眼を惹いたのが、永徳の唐獅子図屏風。自分の脳内イメージより大きい事に驚く。ダイナミック。生で観れて良かった。力強い筆遣い、ゴッホの糸杉のような渦巻く毛並み。美術の教科書とか日本史の図録で観て知った気になってると勿体無い、と言うことが、よく判りました。
 
 と、気持ちがワクワク盛り上がっているところに、出た、若冲。どど〜んと言う感じで。「動植彩絵」30幅、勢ぞろい。いや、まぁ、人の足が止まる止まる。気持ちは判る。なんと言うか、立ち止まってじっくり楽しんで、人と一緒に、ほらここが、ねぇあそこ、とお喋りしたくなるのだ。そんな絵が30幅。もう、最後は「うはは〜」と笑っているしか無かったです。で、若冲作品は最初の方に展示されている訳で、ここでゆっくりし過ぎると、あとが大変・・・大変でした。最終コーナーは少し焦りました。

 たっぷり若冲を観た後に、応挙。肩の力が抜けました。なんとすっきりあっさりなんだ。どちらが良い悪いでも好き嫌いでもなく。あぁ、こんなに違うんだ、と思う。

 確かな事は、若冲を見ていると、眼がお祭り状態になると言うこと。

 小栗判官絵巻は、頭の中に台詞が甦る。中西和久さんだったり、ボートシアターだったり。うふふ。そういえば、今住んでいる戸塚には、小栗伝説ゆかりの地があるんだったわ。

 北斎の肉筆画も一枚。う、また、小布施の北斎館に行きたくなってきた。

 後半は、帝室技芸員制度による近代絵画と工芸品。
 工芸品、溜息が出ました。近代日本が、国の威信を掛けて作らせた、と言うこともあるのだろう。これでもかと言う技術が注ぎ込まれて作られた作品は、眼を奪われ、言葉を失います。・・・いや、嘘、興奮して喋り捲ってた。
 七宝四季花鳥図花瓶。黒い花瓶に描かれた四季の絵。言われないと、七宝とは判りません。吸い込まれそう。ぐるっとひと回り。色の変化に溜息とも歓声とも言えない物が出ておりました。ええもん見せてもらいました。
 与えられる名誉もプレッシャーも、今の時代とは較べようも無いのだろうな、と思う。どちらが良い悪い、などと言うつもりは無い。ただ、大きな物を背負って、ひたすらに作品作りに没頭していたであろう作家達の姿が、少し、羨ましくも感じるのでありました。

 「閉館時間です」と言う声に押されながら、ギリギリいっぱい鑑賞。11/3まで。おすすめです。
 ・・・展示作品のどれもが思わずジッと見つめたくなるものであったのだなぁと言う痕跡が、ガラスにいっぱい。毎日、お掃除が大変だ、と妙なところも気になったり・・・。

 ちなみにこれは、「皇室の名宝」の第1期。第2期は11/12から。正倉院宝物が出るのね。こちらは、スケジュール的に厳しいかしら。それより私は、12月からの「国宝 土偶展」が、もんのすごく気になりますわ。また、興奮状態になりそう。うふふ。