川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

動かぬ旅人たち

 渋谷の人混みが、ほんと、苦手。気持ち悪くなる事もある。それでも渋谷に出掛けたのは、カンパニー・フィリップ・ジャンティ『動かぬ旅人』を観るため。日本語ではこうなっているが、原題は、以前は単数形だったが今回は複数形になっている。だから正確には『動かぬ旅人たち』なのかな。
 初来日公演観て以来、大好きなカンパニー。あれ?フィリップ・ジャンティ・カンパニーと覚えていたんだが、場内アナウンスもパンフもカンパニー・フィリップ・ジャンティだわ。
 マイム、ダンス、人形、マジック、芝居が渾然一体となり、イメージを繋いでいく舞台。
 想像と創造。夢と現つ。生と死。生と性。大人と子供と赤子。男と女。ぐるぐる、ぐるぐる。
 包まれ、解き放たれ、また包まれて。ぐるぐる、ぐるぐる。
 随分歌うな〜と思ったら、今回の新演出。エスニックな歌唱。民族、人種もぐるぐる、ぐるぐる。色んな言語が飛び交い、ぐるぐる、ぐるぐる。
 ビニールもクラフト紙も布も人形も、命を宿し、自在に動き、ぐるぐる、ぐるぐる。

 しかし今回は、楽しくも、凄く怖い夢を見た感じ。

 隣に座った女性がやたら笑う。確かに可笑しいシーンだけど、だけど、かなりシュールで怖くてこっちは引きつっていたところで、声あげて笑っていて。う〜ん、きっと想像している事、受け取っていることが人によって違うんだろうなぁ。
 膨大なイメージの連鎖。判りやすくつかもうとすれば、するりと逃げていく。身を任せ、翻弄され、はっとする。
 それはどこか、維新派にも似ている。確実にサポートしているスタッフワークを感じるのも、似てるかな。
 役者の身体の鍛え方とか使い方は、全然違うけどね。でもどちらも好き。それは、役者が、きちんと空気をまとって舞台に立っているから。

 一か月後のひとり芝居に向けて、しっかと刺激をいただきました。