川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

東京⇒大阪、七時間半

 読了。獅子文六『七時間半』。

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 帯の言葉に偽りなし。
 少し前の時代の日本。戦後、東京都大阪を結ぶ特急列車の中での、7時間半の物語。まだ、新幹線は走っていない時代。
 特急ちどり(モデルは、はと)の食堂車の給仕係藤倉サヨ子と華やかなちどりガールの今出川有女子の、コック矢板喜一を巡る恋のドタバタ。この列車には総理大臣は乗ってるわ、有女子を妻にと狙う岸和田社長や東大大学院生、サヨ子を嫁にともくろむ大学院生の母も乗ってるわ、喜一の将来への問題、全学連が爆弾を仕掛けたという噂もあって。読んでるこっちがほっとする間もなく次々と何かが起きて……
 登場人物に大阪出身者も多く、標準語と大阪弁が飛び交うのも面白し。