川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

ディベート親子

 先日、電車の中で見かけた親子。小学生(4年生くらい、かな?)の男の子とご両親。どうやら、少年は学校でディベートをやるらしい。お題は「北海道VS沖縄」。少年は沖縄チーム(クジか何かで決めたらしい)。
 会話によると、少年は(と言うか一家は)、どちらも行った事があるらしい。でも、少年曰く、沖縄に行ったのは5歳の時で、そんなの覚えて無いよぉ。
 そんな少年に対して両親は、「北海道は寒いじゃない。」「エイサーとか。」「ほら、大きな水族館があるでしょ。」「守礼門があったじゃない。」「アイスクリームが美味しかったでしょ。」「○○お姉ちゃん(親戚?)に電話して聞いてみなさいよ。自分から住みたいって、わざわざ行ったんだから、何か魅力があるのよ。」・・・etc。
 いや、まぁ、気持ちは判るけど、そんな観光ガイドの見出しみたいな事を並べられても、ねぇ。少年に言わせれば、北海道にはよさこいソーランがあるし、あさひやま動物園があるし、美味しいものもあるし・・・。

 なんだろう、一連の親子のやり取りに、違和感を感じる。傍にいる相方も物言いたげ。

 同じ内容でも、親が目を輝かせながら「沖縄の海が綺麗だったわぁ。」「アイスクリームが美味しかったのよねぇ。」とか言うだけでも違うだろうになぁ。親自身が、ただ、用語を並べているような話し方では、少年の思考もそこで止まってしまう。せっかく、他所の土地に興味を持つ素敵なきっかけのはずなのに。
 親戚のお姉さんに聞いてみるのも良い手だとは思うけど、それを提案する母親の口ぶりが「私には判んないわ」と言うニュアンスに聞こえ、それだって、もっとワクワクと「聞いてみようよ!お母さんも知りたいわ。」とかだと、いいのになぁ。
 で、とどめは父親の言葉。

ディベートなんだから、相手を否定しなきゃ。」

 ・・・え?

 ・・・そ、そうでしたっけ?いや、まぁ、ディベートってのはある種のルールに則ったゲームではあるけれど、相手を否定すればオッケーなのか?それじゃあ先に進まないじゃないか。
 これはさすがに少年自身が
「否定するばっかりじゃ駄目なんだよ。」
 と返していたが。

 
 その日のお茶タイム、相方との会話は当然この出来事に及ぶ。やはり、同じ様な事を感じていたらしい。

 結局のところ、想像力ってことかな。ディベートをするには、想像力が必要で、それを喚起するような道を示すのが大人の仕事。でも、その大人の側に想像力が無くなっている、と言う問題。彼の学校ではディベートをするに当たってどう言う指導をしているのだろう。そんなことも気になったりする。まさか、お題与えて「はい、やりなさい。」では無いと思うのだが。だとすれば、何故、あの少年はあんなに途方に暮れていたのだろう。

 諸々考えつつ、やっぱり表現教育ですか、と言うことを思う。五感を、身体を、フルに使って、感じて、想像して、伝える。生きる事の基本となる力、表現する力を子供達が身に着けるための、ささやかなお手伝い。出来るかな、私に。
 と言うことで、先日作ったプログラム・プランニングを見直す。ん〜、やっぱり45分の授業時間では無理があるか。うむむ。
 目下、受講生が各自プランを作り、それを皆で小学生になったつもりでシミュレーションしてみると言う作業をしている。来週は、多分、私のプランもやってみる事に、なる(今週は回ってこなかったのね)。それまでに、再考。うむ。

 ちなみに、シミュレーションで小学校4年生になった私は、消極的で、うつむいて、間違えちゃいけないと思い込んでいて、動きがとろくて、かなり乗りの悪〜い子になっちゃってました。


 ほいで、電車の親子。ご両親、ちょっとお疲れ気味の様でもあったし、その日の目的に気持ちが行ってしまっても居るようだったし、だから、気持ちに余裕が無くて、息子の抱える問題にどう答えてやっていいのか判らなくなって、あしらうモードになってまってたんだろうなぁ。それはそれで仕方が無いだろうなぁ。常に全力で子供の事にだけ向かうと言う訳には行かないだろうから・・・と、ちょっと、大人の事情も慮ってみる。

「あぁやって、親は自分の気持ちをを判ってくれないって思うようになるんやろうなぁ。」by相方。
 はい。そして、そう言うすれ違いの経験も、必要かと。
 がんばれ少年!
 出来れば、彼のディベートを見てみたいと思ったのでした。