マイムを自然な形で使った芝居をやりたいと思っていたわけですよ。
以前、評判の良いひとり芝居を見に行ったのだが、そこで、あるものを触る仕草がいかにも「マイムです!」と言う感じだったことに引いてしまったのだね。「あなたが色んな技術を持っているのは判った。でも私は芝居を見に来たのであって、テクニックを見に来たのではない」と思ってしまったのだ。
たとえばマイムの舞台なら、意図的に「ほら、すごいテクニックでしょ!」と見せるのはありだと思う。それは、狙ってやっているのだから。でも、それはあくまで演出のひとつであり、それをメインに見せられるのは勘弁して欲しいと思っている。
「マイムでひたすら卵料理をしている。そんな芝居。」
音間氏にひとり芝居のオーダーを出す際は、あ〜だこ〜だとお喋りをすることになる。今気になっている事、やってみたい芝居、やってきたあるいは見てきた芝居で不満だったこと、あれやこれや。そんな中で、今回私が出した一つが、マイムで料理だったのだ。
まさか、女二人のひとり芝居になるとは。
ふわっとした終わり方になるとは。
なんか、ハードル上がってませんか?
台本が完成した時は、これ、出来るだろうか。ちゃんとお客様に届けられるものになるんだろうかと、正直、不安にもなりました。とは言え、もう公演は決まっている訳で……(あ、だから、まめ芝。のチラシに書かれた文章は、実は台本完成前に書いたものだったりする。悪くなかったと思うんだけどなぁ)。
こうなると、もう、ひたすら稽古しかないのですな。台本を信じて、稽古稽古。その中で、二人の女の輪郭がはっきりしてきて、家の中が見えて来て、出来る、と思えたのはいつ頃かなぁ。気付けば、不器用な二人の女が、たまらなく愛おしい存在になっておりました。
舞台上にはテーブル一つと椅子二脚。テーブルもマイムで処理出来なくは無かったのだが、そこまですると、お客様が疲れそうだなぁと思ったので。位置関係の目安になるものは、私にもお客様にも必要だな、と。おでこゴツンもやりたかったし。
ひたすら料理作りながら喋っている芝居。お腹すいた〜と言って下さる方も居て、「やったね!」と思う。
うむ、しかしやはり、光洋さんの感想をじっくり聞きたいですな。当日は、結局、ごあいさつ程度しか出来ませなんだ。